第10話 家鳴り

新築で家を建てた時のお話しです。


家鳴りってバキッとかボキッっていう音を想像しますよね。

木材が寒暖差で歪み、音が鳴る現象・・・。


当時、家は鉄筋より木造の方が住んで居る人の精神に良い、なんてニュースに影響されて私も木造にしました。


建築に半年。秋口に引き渡しが行われ、それから暫くして奇妙な音が鳴り始めます。


トーーーーン、トーーン、トーン、トントントン・コロコロコロ・・・


何かが床に衝突して弾んで、そして転がる様な音。


天井から何かが落ちたのかと、落ちた物体を探してみましたが見つかりません。

そもそも天井にその様な物は付いていません。


そしてその音は、初めは一日に一回あるかどうか。

それが次第に多くなってきます。


やはり何かが落ちてきているのではと何度も探しました。

しかし見つかりません。


・・・・・


週末のある日。

妻は実家に遊びに出かけました。この頃はまだ子供は居ません。

私は一人で留守番。


リビングの床に寝ころんでいる時です。

私の左手のすぐ横で


トーーーーン


私は直ぐに体を起こし、何が落ちているのかを探しました。

しかし見つかりません。

でも音は聞こえるのです。そしてその振動も。


トーーン、トーン、トントントン・コロコロコロ・・・


私は目を疑いました。

振動からして大きさはパチンコ玉くらいか。極めて硬い感触。

音は確かに左手のすぐ横。でも何も見えません。見えないのです。


音が止んで直ぐに手の下、体の下を探しますが何も有りません。


「これって・・・何?」


私は建築した業者に連絡しました。変な音がすると。

業者の男性は直ぐに来てくれました。


口頭で伝えようとしましたがうまく伝わっていない感じです。


そんな時です。


トーーーーン!


玄関を上がった所の廊下でその現象が発生しました。


トーーン、トーン、トントントン・コロコロコロ・・・


私達二人はそれをじっと見ています。業者の男性は目を見開いています。


男性に「今の奴です」と伝えると、少し慌てたように


「社長に聞いてみます!」


と慌てて出てい行きました。

その後、音が鳴る頻度は急速に多くなり、最終的には家の中に雨が降っているかと思う程の数になりました。


明るい室内にトントンコロコロと音が鳴り響きます。


正直ちょっと怖かったです。

私は妻に電話をし「家鳴りが酷いから今日は泊まっておいで」と伝えました。

多分この様子を見たら絶対住みたくないと言いそうだと思ったからです。


幸いにしてこの現象は、翌日にはピタリと止みました。


その後は時々ドドーーーンと床を突き上げる音が聞こえる時も有りましたが、それも数年で何も無くなりました。


そうそう。

建築業者の社長さんが後日みえられました。


「新築の家は『家鳴り』がよくするんですよ。大丈夫です。じきに収まります。」


そう言って帰られました。


土地が悪い? 土地の由来?

思い当たる節が多すぎて書けません。場所が特定できてしまうので。


変わった点としては、蜂がとても多いです。夏は足元にブンブン飛んでます。

近所の家では見かけないクロアナバチ、トックリバチ、ドロバチ・・・。

私もここに引っ越して初めて見る奴ばかりでした。


_____________________


この作品はこれにて一旦終了です。

文章にもならない様な短い出来事はまだ有るのですが、また纏まったら書いてみたいと思います。


皆様、ここまで読んで頂きありがとうございました。

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身近な実話短編集 @kakogawa_1900

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