離れの押入れの奥にある柳行李。薄暗い離れの和室に広げられた様々な恐ろしい譚の数々を、一つまた一つと丁寧に畳んでは、行李に蔵う。丹念に物語っては、行李に蔵う。 恐ろしい話、摩訶不思議な話、忘れ難い怪談の数々は行李の中に。時折、出して来ては長押に掛ける。そして又ひっそりと、行李へと蔵われる。怖いモノが湧かないように。柳行李は、怪談の数だけ増えて行く。お気に入りが、きっと見つかる。