第4話

 斜め下をなんとなく見て、それから視線を城ヶ崎に合わせる。

「私は教室の掃除をするために来たの。宿題を忘れた罰だって。さっき、職員室で先生に言われた」

 城ヶ崎に言って、きまりが悪くなる。

「そっちは?」

 城ヶ崎は一度考えるフリをして答えた。

「私も教室の掃除をするためにいるの。わたしは普通に当番なんだけど」

 ということはなんだ、私は追加要素か。ちゃんとしている奴にくっつけるなんて、担任教師も意地悪だ。

 と思っていると、意外なことを城ヶ崎が言う。

「テスト勉強、とか言ってサボれば良かったかな」

 ん。

「そういうこと、考えるんだ?」

「え?」

「いや、不真面目っぽいこと」

 城ヶ崎が少し笑った。

「まぁ、考えるだけ、ね。実行には移さないし、移せないの……いくじがないからね」

 自虐的に口を曲げた。そうなのだろうか。私には城ヶ崎がいくじがないタイプには見えない。

 納得は出来なかったけど、何故か私は親近感を覚えた。

「それじゃ、掃除を始めよっか」

「そだね」

 私はスポーツバッグをそこらに置いて、掃除用具入れに向かった。

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川崎と城ヶ崎 冬見 @fuyumi8

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