第7話 初めてのおつかい
そうして、パン屋のフェルシモでの生活に慣れてきた頃、さくらは和菓子の材料になりそうなものを探しに街の端で開かれている市に行くことにした。
「ネイアスくん、お菓子の材料を買いたいから市まで案内してほしい!」
「なんでだよ?まだこないだ使わなかった豆があるじゃん」
「あれは、この街にある食材と食べ比べしてより美味しいやつを選ぶときに食べるようにしたいんだよね」
「ふ〜ん、買うのは豆だけでいいのか?」
「豆とお砂糖……あともち米って言って柔らかいお米も買いたいな」
「もち米はわかんないけど豆と砂糖は買えそうだぞ」
「新しいパンの試作のための予算もタリアさんにもらえたし早速行こう!」
市に着くと見たことのない物が沢山売られていた。
「このトルルの実安いぞーー!!」
「森で狩ってきたばかりの針山ヤギの肉があるぞーー!!」
出店の野菜や肉を売る呼び込みの声がたくさん聞こえる。元の世界では見たことのない不思議な物が売られている。
ふと横を見ると羽の生えた豚のような動物が売られていた。
じっとその動物を見ていると屋台の人から声がかけられた。
「嬢ちゃん、跳ね跳び豚買うかい?」
「この仔ですか?」
「森で群れてたところを運良く見つけてな、たくさん捕まえれたから今日ならお得に買えるぞ」
「こら!さくら何やってんだよ、豆と砂糖買いに来たんだろ! 猟師のおっちゃん、俺たち別のモン買いに来たから今日は買えない。また今度買いに来るよ。
ほら、行くぞ!」
「ごめん、ネイアスくん」
ぼんやりしてたら買い物客に間違われたみたいだ。
「サクラが一人で買い物に行ったら、買わないはずのものいっぱい買ってきそうだな…」
「そっ、そんなことないよ」
「いや絶対買ってくる。豆を売ってる露店は向こうの方だな……」
そんなこんなで豆を売っているお店に着いた。
「俺が砂糖買ってくるからサクラはここで豆選んどいてくれ、絶対ここを動くんじゃないぞ!」
「はーい」
そんなちっちゃい子みたいなことしないと反論したいところだが、否定しきれないところが辛い……
しっかりしなければ。
豆を売っている露店の人にどんな豆があるのか聞いてみる。
「ここにはどんな豆がありますか?小さめの物があれば欲しいです。」
「小さいものだと砂豆とかかい?スープの出汁をとるのに良いよ」
「あっ、もう少し大きいものでお願いします」
小さい豆は胡麻ぐらいの大きさの黄緑の豆から大きいものだと卵ぐらいの豆があった。
念のため少し持ってきていた小豆を見せてコレド似たものがないか聞いてみる。
「これに似たのはオオヅタ豆、イモミ豆、森豆の3つだね。どれにする」
「3つを少しずつ買います!」
「あいよ、じゃあそこの袋に欲しい分を詰めておくれ。重さで値段を決めるから」
無事小豆に似た豆を見つけて買えたことに安心して近くのベンチで休憩することにした。
マイペースなJKは異世界で和風喫茶を開きます! 鶏もも @yukirnngo
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