星月夜に短冊に願いを込める

十六夜 水明

願い事

分かっている

願い事など とうの昔から

人に叶えてもらうものでないと


分かっている

だから人は 自分の意思で

努力し涙を流して絶望すると


自分が描いた方向に

当たり前のように事が進む訳でもなく


道理に合うなら 貫き通され

合わないならば へし折られる


でも、人間私たちには

道理に合う合わないなど

知ったものか


分からないし 分かりたくもない


ならば願おう


たとえ 道理に合わなくとも

もしも 強く願ったならば

神に 思いは見届けられて


願いは 叶う かもしれない


ならば願おう 己の勝利を

ならば願おう 己の欲と夢を

ならば願おう 愛しき魂の復活を


願い 願う 強く 強く

求め 求む 強く 強く


さすれば 願いは叶うだろか

神に届き 叶うだろか


かつて天界の地で 姫と男の願いが

父神に届いたように

その願いは 叶うだろうか


笹の葉に 願い綴った短冊は

星月の夜に 淡く浮き出ていた

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星月夜に短冊に願いを込める 十六夜 水明 @chinoki

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