7月7日

古くなったホットケーキミックスのスパイシーな匂いがする

そんな朝を迎える



眠い

これがいつか僕の遺書となり

僕の遺稿となることを夢見て

僕は微睡みの中に居る

いつかきっと眠りから覚められるように

永遠に



僕は本当は

君のことなんかどうでもいいんじゃないか

そんな疑念に苛まれている

せめて自分の愛情の在り処を

存在を証明できたなら

僕は今

もう一歩だけでも



夕景のような照明をつけて

僕は固いベッドに横たわる

頭の中には君が居て

その面影は暗く

よく見えない

輪郭の覚束ないそれを

僕はまだ大事に思う



手に取ったひと欠片の愛着を

例えば人生の終わりの横に置いてみて

僕はもう迷わず

それを捨てられる



人の本質がその好きも嫌いも

愛情でさえ

生まれた時に定まっていて

生きているうちは上辺を取り繕うだけなのだとして

だとしたら僕は僕のまま

ただ君だけを



彼岸と此岸

僕のことをその両足で掛けていると

言った人が居た



大海のように大空のように

その青に手を伸ばしても

まるで君のように

隣り合った永遠の孤独



君と海に行ったことは無い

多分無い

そのくせ僕は

僕の頭蓋の中には

浅い波間に揺られた夏の

君が居る



愛していた物がまたひとつ変わっていく

人生は悲しく虚しい



愛情と執着の違いさえ分からない某には

君への感情も

ただ憧憬という言葉で



その程度の愛情で好きだとか言うなよ



朝日の晴れやかさも夕陽の切なさも

日ごとに忘れてしまう僕では



陽の差す部屋で木漏れ日が揺れた

風が吹き髪が靡く

僕が望む日々

遠くへ行きたい

ここは邪魔だ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

隔日 20:00 予定は変更される可能性があります

日記を兼ねた詩 ささまる/齋藤あたる @sasamar

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ