桜花繚乱、屍に咲く

独り善がりの男の譚。
無理が通れば道理は廃る。既に忘れた
幼い日々を、温かな感情を、埋める。
老いさらばえ見境を忘れた嫗を母と認めず
仄昏い感情の発露を、衝動と呼び替えて。
せめて美しい桜の、樹の根下へと埋める。

いずれ、美しく咲き乱れる桜の花々に
見守られて眠るのならば。


独り善がりの男の母は。

桜の根下で、ひっそりと嘆く。
凄まじき容姿の姥桜、それは呪いか
それとも化生か。

死んでも尚 母 であったのだろうか。