第6話

あの後他の従業員が駆け付け、病院に連れていった。軽い貧血だそうだ。

何で知ってるかというと、美容院は姉が通っているとこらしく、店長ととても仲がいいらしい。さすが陽キャ。あの光たちと対等に喋れるのか。それも大事だが、まず今置かれている状況を考えよう。

えっと誰...?マジで誰なのか分からない。正直前の顔の原型すらない。僕は祖父似だったため、顔が全く違うかった。まじでこれなら学校行っても誰かわからないだろ、これ。


家に帰った瞬間姉さんに「あんた誰!?もしかして春の彼女?」というほぼお決まりセリフをまた言われたのだった。実の姉に一日に二回も「誰」といわれることあるだろうか。うん、これ僕しかないね。二回はない。まあとりあえず帰ってきた瞬間に、第二回井上春着せ替え選手権が始まったのは言うまでもないだろう。

「ねえー春。課題終わったのー?」うーん、課題、課題。課題ってなんだっけ。

「や、やったよ。流石にやるよ、うん。不登校でも。」

「あんた本当にやってないの...」

「いや、やったよ...?」嘘ではない。終わってないが、やった。それだけだ。

「嘘でしょ。あんた嘘つくとき打算しまくるから、目が変な方むくんよね。」

「はい、やってません...。」

「あんた、終わるまでラノベとスマホ没収ね。」

「スマホは連絡にいるし...」

「あんた連絡する相手居ないでしょ。どうせゲームのログボほしいだけでしょ。」

なぜバレた。この姉は心が読めるのか?そういう能力者なのか?てか連絡する相手いるもん...いる...よな...?記憶の中に誰かいないのか...。あ!

「小夏いるし!」ちょっと仲良っぽさを持たすために下の名前でっと。

「小夏ちゃんは隣だし、あんたらなんか仲悪いじゃん。まあとりあえず没収ね。」

「ノウ!!」バイバイアルニャさんバイバイ俺のログボ。

なーんてね。僕には実は隠し武器タブレットがあるのだ。電子書籍もゲームも入っている。フハハハハハ!!我ながら完璧だ。これでweb小説もあされる。そうさいつだって強い抑圧は新たな大きい不正を生むのだ。

そしてラノベとスマホを姉さんに没収されたとき、

「あ、あとあんたタブレットも持ってたでしょ。前なんか部屋においているの見たわ。それも持ってきなさい。」終わった僕の夏が。アオハルが...。やっぱり圧倒的な力の前では僕は無力なのか...。


そして何もすることがなくなった僕は仕方なく、いやラノベとスマホを返してもらうため、一日でも早くログボをもらうため課題をしたのだった。案外にも課題はもう半分終わった。なぜ早く終わったのか。諸君らならわかるだろう。さあ掲げよう。僕らの救済、解答を。ともあれここからがヘルモードである。初心者サポートは終わりだ。みんなの答え先輩が導いてくれないのだ。課題研究?ぶち○すぞ。ごら。


なーんてねこんな時はスマホで知恵袋を見れば...。あ。あのくそ姉!!

もしかしてここまで読んで...。終わった。さようなら僕の夏休み。さようなら夏限定ログボ。さて、これからどうするか。まともに内容も聞いていないので、アイデアのアの字どころか、アを書く紙もそろっていない状態。こうなったら姉さんからこっそり奪い返すしか...。あの悪魔の記憶が思い出す。


不登校見習いの頃、姉が学校にいかせるためか、スマホを没収したことがあった。僕はあんな広い家で暇だったので、そのスマホを探すことにした。時間はかかったが、元からありまくるので関係ない。そして僕はついに姉さんのクローゼットの箱を開けて見つけた。最初こそ、見つけて嬉しかったが、ばれたら終わるのではと思い、戻したが、「はーるー?」いう声で呼ばれたのでいくと、姉さんの口元は笑っていた。だが、目が笑っていない。これから何されるのか僕は瞬時に察した。そのため、土下座を目があって数秒でかました。この際プライドなんぞ関係ない。しないと殺されるのだ。

「あのね、春。姉さんはね、あんたのことを信用して、ここにおいていたの。あんたこれをが探せば見つかるだろうけど、そんなことしないと思って。でもね、帰ってきたら位置がずれているのよ。なんかの拍子にずれたらわかるけど、裏返ってるのよ。」そう、姉さんはひたすらに記憶力がいい。パッと見たものをすぐに覚える。普通、教科書をパッとみただけでそのページ覚えるとかあり得ないでしょ。絶対、僕の頭姉さんにとられたわ。ちなみにこの後半殺しにされた。


でもこの過去があるからこそ絶対にしてはいけない。触ってもいけない。もはやトラウマだ。



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「社会不適合者の私が幸せになる話。」 @sabasama

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