第2章
1話 出発の日
窓から差し込む陽の光にゆっくりと目を覚まし私はため息を吐いた。私は今日この国を出ていく。
「早く起きて準備しないと……」
そう呟きベッドから起き上がれば規則正しいノック音が部屋に響いた。
「お嬢様。朝のお支度に参りました」
「……そう。入っていいわよ」
「失礼いたします」
部屋に入ってきた数人の使用人に身支度をされながら私はぼうっと考えてた。今日でこの国とはお別れ。ソレイユは1人で家の仕事は出来るのかしら……そんな事を考えていれば身支度を終えた使用人達は部屋を出ていこうとしない。不思議に思っていると1人の使用人が話し出した。
「お嬢様この日を迎えられたこと心よりお祝い申し上げます」
「お嬢様にお仕えできて幸せでした」
使用人たちの言葉に私は瞬きをしたあと小さく笑みを浮かべそのまま使用人たちについて行くように部屋を出た。
「エストレッラ準備は出来ているかい?」
「お父様……えぇ出来ています……ソレイユは?」
「まだ起きていないな。全くあの子は……」
お父様は困ったような表情を浮かべながら呟いた。私も小さくため息を吐いた。いつになったら起きられるようになるのか……そんな事を考えながら私は軽く朝食を食べて出発の時間まで必要な荷物を馬車へ詰め込んだ。
「エストレッラ。もう準備は出来ているのかい?」
「はいお父様……時間通りに出発出来ます」
「そうか……帝国は治安が悪いところもあると聞いている。気をつけなさい」
「えぇお父様もお身体にお気をつけくださいね」
私がそう告げればお父様はそっと私を抱きしめた。暫くするとバタバタと慌ただしい足音が近づいてきて勢いよく私を抱きしめてきた。
「お姉様!もう行っちゃうの……?」
「ソレイユ……苦しい…」
「でも……でもお姉様もう会えないんでしょう……?」
ソレイユは瞳を潤ませながらそう告げてきた。私は小さく息を吐きそっとソレイユの頭を撫でた。
「一生会えなくなる訳じゃないわソレイユ。国同士の交流があれば会えるわ」
「……本当に?」
「えぇ。だから貴女もこの国の王女としてこの国をそしてお父様を支えてあげて」
「……分かりましたお姉様」
私はそっとソレイユから離れ小さく笑みを浮かべれば御者から声が掛かった。私はその声に頷き私は外へ向かった。
「エストレッラ。向こうでも元気にやるんだよ」
「えぇお父様。ソレイユもお元気で」
「お姉様……いつか帝国へ行きますから!会いに行きますから!」
「えぇ……待ってるわソレイユ」
私はそう告げて馬車に乗り込み御者へと合図を出せばゆっくりと馬車が動き出した。さようならクランカティカ王国。
心が凍った氷雪姫の心を溶かしたのは夜空の瞳を持った王子様でした 華柏(こはく) @kohaku_1105
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