5,これで最後
あの日から気がつけば2週間が経ち私は溜まっていた書類の整理に時間を割かれていた。
「……これで最後」
ようやく最後の書類を片付ければ私は軽く伸びをしたあと机の上に置いたキラリと光る香水瓶を見つめた。これも帝国に持っていこう。あとは必要なものを詰めれば荷造りは終わる。もうこの国には戻ってこない。それまでにもう少しだけこの国を街を見てみたい。
そう考えているとコンコンと規則正しいノック音が部屋に響いた。
「失礼しますお嬢様」
「……どうかしたの?もしかしてまたソレイユが?それともお父様?」
「ソレイユ様です……書類仕事が終わらないとの事で……」
「そう……それでどうすればいいのかしら?」
「お手伝いして欲しいとの事ですお嬢様」
「……申し訳ないけれど荷造りが終わってないの。それに私はもうこの国には戻ってこないわ。あの子1人で出来るようにならないと。」
私は使用人にそう告げて小さくため息を吐きまだ終わっていない荷造りに取り掛かった。あぁこれじゃあ街に出るなんて無理そう……そんなことを考えながら荷造りをしていれば外は気がつくと日が落ちていて。私はもう一度ため息を吐いた。
「……早く寝ないと。明日にはもう迎えが来るんだもの……」
私はそう呟き部屋の明かりを消してベッドへと身を投げた。晩御飯は……もういいや。怒られるだろうけどなんだかもう面倒くさい。そう思いながら私はそっと目を閉じた。
心が凍った氷雪姫の心を溶かしたのは夜空の瞳を持った王子様でした 華柏(こはく) @kohaku_1105
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