スペアリブ

@anchor1no1

プロローグ



あばらって知ってる?肋骨!」


 けた少女は天真爛漫に歯を見せて、自分の肋を両指で指した。


「……」


 切れ目の男は見向きもせず、頭の後ろに手を組みながら足を伸ばしきって寝そべっている。


「ここだよ!ほら!」


 そう言いながら少女は男に馬乗りになり、男の服をまくし上げて、露出した肋を下から上へ、舌で這わせた。


「……」


 男は依然、黙って寝そべっている。


 少女は続けて話しかける。


「くすぐったくないの?私が下手なのかな?」


 そう言うと、さっきより唾液を含ませた舌で、高揚した鼻息と共に、肋の上の皮膚と汗の味を堪能し始めた。


「今日ね、いつもよりヌルヌルするんだよ!排卵日ってひと月で1番ヌルヌルするんだよ!で!1番ち○ち○を気持ちよくできる日なんだよ!ねえ!子宮の穴にち○ち○の穴くっつけてぐりぐりしてよ!そのまま出してよ!」


 梅雨の午後14:30頃、男のひとり暮らしの家で……否、艶やかなから雄の濃い香りが垂れる。


 続けて少女は求める。


「んー…?すきぃー…」


 余韻でさっきの威勢は消えたようにみえて、欲求はとどまることを知らない。


 舌で固く強く歯をこじ開け、男の舌に触れると、解けて柔らかくなり、唾液と愛を流し込む。応えてくれた気がして少女は嬉しくなり、また激しさを取り戻した。


 境目が見えなくなる程に、愛のメレンゲが泡立つ。

 少女の幼き器の中に雌の血肉がうごめく。頭からつま先まで全てが液状化し、硬直する。まさしく変態しようともがく蛹のような全身を使った腰つき。刹那せつな、下から跳ね突き上げてくる雄の本能と、その愛しさにたまらず限界を迎えた。


 禁忌から離脱しようとする男の先端を少女は逃がさない。奥へ引き戻されると男は抵抗するのをやめた。


 男:「デきちゃったら堕ろせばいいよ。」

 少女:「それってトー君の優しさで言ってるんだよね?優しいね。」


 2人はそれだけ言って、沈黙した。


 2人だけに解る不気味な会話の後、外の雨の音だけが遠くで聞こえた。


他に物音は一切しない。


2階建てのアパート、2階の1番奥の一角。この建物に潜むのは男と居候の少女の2人だけ。



┈┈┈┈┈プロローグ[完]┈┈┈┈┈

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