第16話
まずい、とは思っている。
つまりは現状解決策というものがまるきり思い浮かばず、それ故にタイムリミットがどんどんと近づいてきているのを肌で感じる。
一応、最終的には私だけではなくこの第七支部の住人達にも協力して貰い、調査を行うようにするために例の選ばれた彼等には肉体の強化を行って貰っている。
食事の改善――については素直にタンパク質、プロテインを取ってもらいたいのだが、固形物を特別支給するとまたなんか文句を吹き出す奴らがいると思い、面倒臭いので特製のプロテインミルク(マズイ)にしておく事にした。
評価に関しては想定通りだったのでそれが問題になる事はないだろう。
逆に、なんか変なものを飲まされているって事で悪感情を抱かれている可能性もあるけど、背に腹は代えられない。
「んー」
最近はずっと例の廃棄区画のスペースに入り浸っているような気がする。
パソコンの画面、つまり『YOUSEI』と会話しながらどうやったら今回直面している問題を解決できるのか、その答えを得る為に話し合ってきた。
その時に彼女がうずうずと何かを話したがっているような雰囲気を感じていたので「何かあるのですか?」と尋ねたところ、
『ゲーム、あるけど一緒にプレイしない!?』
「……いや、今忙しいっていうか」
『別に何もしてないじゃない』
「……」
そりゃあそう見えるかもしれないけどさー。
とはいえ、ずっとうんうん悩んでいるだけというのもただ頭が凝り固まるだけな気がしたので、ここはちょっと気分転換がてら彼女のいうゲームをしてみるのも手かと思い「そうですね」と答える。
「じゃあ、ちょっと試しにしてみましょうか」
『そう、じゃあすぐに準備するわねっ』
と、画面が切り替わって現れたのは碁盤の目のようなものだった。
いや、ていうかまんま碁盤の目だった。
私は頭を抱えたくなる気持ちが吹きあがって来るのを感じ、しかし我慢しつつ言う。
「いや、普通に考えて知能系のゲームで人工知能の貴方に勝てるとは思えないのですが」
『えー、そう? まーちゃんはいつも付き合ってくれたわよ?』
「……前々から思ってましたけど、その『まーちゃん』って誰なんですか?」
過去、つまりこの場所が過去のものとなる前に彼女と知り合えた存在がいるのだろうか?
そう思い尋ねたのだが、しかし彼女は不敵に笑う。
『ふっふっふ、私を楽しませてくれたら教えてあげても良いわよ~?』
「……」
つまり、結局このゲームをするしか選択肢はないようだ。
私は「はー」と嘆息し、仕方なく画面の「ゲームスタート」ボタンを押すのだった。
……そしたら、なんか碁盤が3Dに切り替わり、その上にたくさん積まれた将棋の駒が現れた。
って、普通の将棋じゃなくて「やまくずし」かよっ!?
ディストピアゲーの運営側に転生したので、住人全員『幸せ』を義務にする カラスバ @nodoguro
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