まずはもうタイトルに突っ込みですよ。
は?冷遇してたんでしょ?!それなのに追放された聖女についてくるって何?!
あれか?
もう冷遇することに何らかの快感を覚えちゃった系か?なんか拗らせたんか?
「追放先でも冷遇しないと!(使命感)」って、コト……?!
とんでもねぇ野郎だな!
と思っておりましたらば、もっととんでもないことになっていたのです。
そもそも何でヒロインである聖女テオドアが追放されたかっていうと、体調不良で、聖女としての力が落ちてきているから、っていうね。そりゃ聖女として機能しなくなったらそうなりますわな。しかも代わりの聖女ももういると来たもんだ。
そんなわけでなんかもうぼろぼろのテオドアをその冷遇婚約者(言い方ァ)が看病するわけですけど、それがまぁー甲斐甲斐しいのなんのって。
甲斐甲斐しく『○○○○(ピー)』の色をチェックしようとしてくる。こんなのもう甲斐甲斐しさSランクでしょ。甲斐甲斐しさにランクがあるのかなんて知りませんけど。
え?『○○○○(ピー)』がなんなのかって?
書けるわけないでしょ?ここがどこかご存じか?レビュー本文ぞ?こんなところで『○○○○(ピー)』とか書けるかってんだい。
何だ何だマジでどうなってんだ、とコメント欄もお騒ぎです。おい、変態がいるぞ、と。
ですがこの変態――じゃなかった婚約者には驚きの秘密があったのです!
大丈夫、レビューでネタバレなんて野暮なことはしませんぜ!
とにもかくにも別人級に手のひらくるくるして追放聖女テオドアをお世話する婚約者殿にニヤニヤしておりましたら、そんなニヤニヤしてもいられない事実が次々と!
私この、いわゆる『聖女モノ』ってそんなにたくさん読んだことないんですけど、タイトルでなんとなーく内容って推し量れるじゃないですか。ハハーン、まーた追放されたけどなんやかんやしてザマァすんだろうな、みたいな。
ところがですよ。
あのね、びっくりするから。
えっ?!そう来る?!ってなるから。これはマジでマジで。宇部さんこういうので嘘つくことないから。じゃあどの部分で嘘つくんだよ、って思われたかもしれませんけど、私のことなんてどうでも良いじゃないですか。
いやマジで「えっ、そう来る!?」ってなること間違いなし。
よく考えたら確かにそうなんですけど、それをこの異ファン(異世界ファンタジー)に持ち込むか?!っておいマジで青嵐さん天才かよ、って。
完結してますので、一気にどうぞ!
この世界の聖女は不憫です。
長生きできませんし、王族と名ばかりの婚約をします。神殿で暮らし、自由はありません。それでも使命感に燃え、魔物を退治してきたテオドア。
しかし今、彼女の体調は思わしくなく歩くのもやっとで……。
冒頭はもうそれはそれは可愛そうなのです。周りは敵だらけに見えます。
テオドアが純粋で健気なだけに、よりいっそう不憫なのです。
が、ややあって物語が展開すると趣が変わってきます。
変態です。変態が出てきます。
しかも変態は王子なんです。美貌を放つ変態なんです。
どのあたりが変態かと言うと、パワーワードを放ってきます。
弁護すると、変態になりたくてなったのではなく、慈愛ゆえの変態、白衣の天使的な思いからこぼれ出た発言なのですが……いやもっとさ、言い方あるじゃん。どストレートすぎやで!!
しかしそれも徐々に打ち解けていくと、誤解も解け、王子はその美貌に似合う素敵さをたくさん発揮します。
というか、このイーリアス王子。元々はテオドアにつらく当たる最低王子だったはずなのですが、変態になって……いや、どこか様子がおかしいのです。その事情が実は……。
聖女をやめ神殿を出ても魔物に命を狙われるテオドアと、不思議な知識を持つ王子イーリアス。
クライマックス、現代人にもずいぶん身近になってしまったあの問題が出てきます。
確かに異世界転生でなく転移、召喚って、そういう面があるよね、と。
それは何かは読んで確かめていただくとして。
テオドアの上品な語り口で進む本作。さくさく展開していき、笑いあり、感動あり、信念ありの面白さです。登場キャラも魅力たっぷり。ちょいちょい出てくるお邪魔虫の魔物も、登場をますごとに小物感、いや、お決まりのパターン感が出てきて面白かったです。
完結済みの作品。一気読みもおすすめです。
聖女テオドア。幼い頃から神殿で暮らし、魔物が現れた時は聖なる力で撃退し続けてきた彼女ですが、ある時原因不明の体調不良に。
とうとうまともに戦うことすらできなくなった彼女に、神殿はもはや聖女ではないといった感じで、別の人物を聖女に据えます。
聖女でなくなったテオドアは地方で一神官として働くことになり、婚約者だった王子イーリアスとも破談に。
まあ、破談そのものはいいのです。なにせこの王子、婚約者というのは名ばかりで、新しい聖女となった人にずっとご執心だったのですから。
テオドアのことを想ってないのなら、あとは好き合ってる者同士勝手にやってください。なんて思っていましたが、ここからが意外な展開。
婚約はそのまま。しかもテオドアのことを心配し、自分も一緒に地方について行くとのこと。
あなたちょっと前まで冷たい態度とってませんでした? まるで別人じゃないですか? そういえば、なぜか急に、やたらと医療に詳しくなるという不可解なことまで起こりました。
あと、デリカシーがない! 女性に、いえ例え女性じゃなくても、いきなりそんなことを聞くなんて、みたいなことをガンガンやってきます。
聖女でなくなることも大変ですが、王子の急変はもっと大変かも。
けどこの変化が悪いことばかりかというとそうではありません。
デリカシーはなくても、テオドアのことを思ってくれているのは事実。そしてそんな変化は、今まで聖女一筋で生きてきてまともな恋愛をしてこなかったテオドアにとって、とても刺激的かも。
グイグイくるイーリアスにたじたじのテオドア。ピュアでウブな彼女は、この攻撃(?)に耐えられるのか?
そして、イーリアスが急変した原因やいかに!?
幼い頃から聖女として神殿で暮らしていたテオドア。
その身に宿した聖なる力で魔物を撃退してきた彼女ですが、あるとき原因不明の体調不良で聖女を続けられなくなってしまいます。
お払い箱になったテオドアは、遠く離れた地で新しい生活を送ることになったのですが、そんな彼女についていくと言い出す者が一人。
テオドアの婚約者である、第二王子のイーリアスです。
聖女でなくなったとはいえやはり婚約者、テオドアのことが心配なのかな……と思ってはいけません!
だって彼、婚約者とは名ばかりで、今までテオドアに冷たい態度を取ってきたのですから。
なのに人が変わったみたいにテオドアのことを心配し、さらには豊富な医学知識によりテオドアの体調を診断するという。
ちょっと王子様、そんな知識、どこで身に付けたの!?
急にキャラ変したイーリアスですが、なにも完璧人間というわけでなく、デリカシーが無いのが玉に傷。
診断のため色々聞きすぎて、テオドアには変態扱いされる始末。
けど、以前冷たい態度をとっていた頃よりずっといい!
テオドアのことを気遣い、心配し、優しい言葉をかけてくる彼には、何度もドキドキさせられました!
急なキャラ変に戸惑いながらも、だんだんとイーリアスに惹かれていくテオドア。
恋愛方面に全く免疫が無い彼女の反応が、毎回すごく可愛い!
聖女は解任されましたけど、心優しい彼女には、幸せになってもらいたいです。