大華翼

七星北斗(化物)

1.小さな翼

 この物語は弱く、それでも強くなりたいと願う私の物語。


「世界はどうして、こんなにも無意味なんだろうか。これ以上頑張っても、意味がないんじゃないの?」


「君の選択は、間違っている。それを考えること自体おかしい」


 カカシは、それらを否定し。私が間違っていると言う。


 私は、口を噤む。正論さえ言っときゃいいのか?言い返すだけ無駄だ。


 どうせわかってくれない。


「待て、話を聞け」


 カカシに肩を掴まれた。下らない、どうしてこんな無意味な会話をしなきゃならない。


 五月蝿いんだよ、ハゲ。


 私は、学校の屋上から飛び降りる。


 その時のことは、上手く思い出せないが、甘い花の香りがした。


「あれ!生きてる?」


 いつの間にかカカシは、灰になっていた。


 その日から、嘘をつく人にはイヌホオズキの花が見えるようになった。


 世の中、嘘ばかりだ。


 愛を語る宣教師は、金と女に弱い。世界がとても、薄っぺらく感じる。


 そんな時に出会ったのが、ガジュマルだった。顔はそれなりに良いと思う。しかし初めて会った彼には、花が見えず。


 とても慌てた、それを見てガジュマルは、大層おかしく笑うものだから。私は、腹を立てたものだ。


 なんで笑ってるのよと。それに対してガジュマルは、滑稽だからと言った。


 咲き乱れた花よりも、影に咲いた一輪の花が好きだと言う。


 私も、咲き乱れた花の一部にすぎないと。それを聞いて、私は安心してしまった。


 この世界に取り残されてはいないのだと、しかし私は何者なんだ?


 その問いに答えたのが、彼だった。


 誰かに会うためだったり、何かをするため。小さな世界で、俺を作るためだと言う。


 馬鹿かコイツは、そんな下らないことが答えな筈がない。


 私の答えは、この小さな翼で空を飛ぶこと。何て言ったら、彼は笑うだろう。


 しかしガジュマルは、真面目な顔をして凄いと褒めた。怖くはないのかと、不安にならないのかと問う。


 私は得意気になって、一度飛んだんだと言った。


 彼は、冗談だと真に受けることはなかった。気分を悪くした私は、そのまま家に帰り。いつも通りの日常に戻った。


 好きなテレビ番組を見て、長めにお風呂に入り、いつもより遅く寝た。


 花は、いつも私に寂しさをくれた。誰も私を見てはいない。


 興味もなければ、関心もある筈がない。


 そうやって、私を作ってきた。


 そこで思ってしまった。私は花が、それほど好きではないんだと。


 夜の公園に花が咲いている。


 炭酸ジュースがいつもよりも、侘しく感じた。

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大華翼 七星北斗(化物) @sitiseihokuto

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