3-2

 ギルド長室のソファーに座り俺たちは今回の騒動について話し合っていた。

ギルド長は深く考え込んでいる顔をしているし、リンは疲れている顔をしている。


「それで、今回の騒動だがやはり裏で手を引いているものがいると思うんじゃ。」


「やはりですか…でも誰が…」


「私、少し心当たりあるかも…」


「「!?」」


リンに心当たりがある!?

一体どういうことだ!?


「私たちの村を襲ったやつらが言ってたのをこっそり聞いてしまったの。」


『若いやつを生け捕りにするなんて簡単な依頼っすね。』


『なんでも研究用のモルモットとしてほしいとか。』


「って。それに最初に討伐したキメラ違和感感じなかった!?なんていうか、人工的に作られたような…」


 確かにあれは人工的に作られたキメラだろう。

普通、魔物は同じ個体からでしか子孫を残せない。

が、たまに別種同士でも生まれてくることがあるらしい。

別種同士でも基本、母親の個体しか生まれないがごくまれに両方の特徴をもった魔物が生まれるとか…


 だが、今回は3体の魔物の特徴を持っていた。

だからあれは人工的なキメラと思っている。


「そうじゃの…3体の魔物の特徴をもったキメラは今まで報告されておらん…」


「…俺も人工キメラだと思う。」


 もし人工的に作られた魔物だとしてなぜキメラなんて作ったんだ…

それに一匹だけで攻めてきた。

あとからきたAランクの魔物は…


「今回の騒動、何か大きい組織がかかわってるとか…ないかな…?」


「大きい組織?」


「あぁ、Aランク魔物が一気に襲ってきたけど魔物がそんな都合よく意思疎通して一気に襲ってくることありえるかな?」


「…たしかに。」


 そう、だれかしらが魔物を従えさせて街周辺に配置したんだ。

そして一気に街を襲う作戦だったのかもしれない。

だがそれが防がれた今…


「またこの街が襲われるかもしれない…」


「その可能性が高いの。なぜこの街を襲ってきたのかは謎じゃがそれが阻止されたんじゃ。前回よりももっといろいろ用意してくるやもしれん。」


「前回よりも!?」


 そう、前回より対策してくるに違いない。

だから俺たちもいろいろ対策を練らないといけない。


「ギルド長、街周辺の魔物撃退装備を見直しましょう。」


「そうじゃの。改良や新しく作らんとな。」


 こうして俺たちの新しい防衛線強化作戦が始まった。

ギルドと街全体のことだったので事は大きくなかなか進まなかった。

でも街の人たちも協力をしてくれたおかげで少しずつだが進みだした。

もう誰も傷つけさせない…

俺は心の中でそう誓い、次の襲撃のために備えだした。


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ローカルヒーローやってたら異世界ヒーローになりました 空海月 ヤネン@異世界転生もの執筆中 @yaneyane

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