七月八日
中島らものエッセイを読んで、どうして自分はこうもつまらない人間なんだろうかとふと思う。何故って、僕は煙草は吸わないし、運転免許は持っていないし、酒は飲むけど酔う前に頭が痛くなるし、彼女はいないし、というかいたことがないし、というかデートすらしたことがないし、友達は少ないし、実家暮らしだし、偏差値五十前半の大学生だし、標準語だし、メガネだし……という感じだ。
それで自分なりに何故僕はこのようにつまらない人間になってしまったのか、と真面目に考えた結果、それはたぶん僕が中学校生活という、思春期の真っ只中を、あろうことか、スポーツなんかに打ち込んで、チームメイトと切磋琢磨して、汗を流してしまったからだという結論に行き着いた。
スポーツは確かに健康な肉体と精神を鍛えるのに役立つが、けれど自分が惹かれるのは、不健康な肉体と精神である。
自分は中学時代、陸上部に所属して、それこそ県大会で優勝したり、ジュニアオリンピックに出場したりと、活躍した。けれどこれを聞いて、多分貴方は「だから何だよ。そんなもん知らねえよ、バカヤロー」と思ったことだろう。僕もそう思う。つまりスポーツの実績など何の話の種にもならないのだ。それよりギターで一曲でも弾ける方が断然魅力的である。
まずスポーツでは教養というのが一切育まれない。これも自分のコンプレックスの一つである。僕には文化的な教養というのが全くと言っていいほどない。初めて最初から最後まで小説を読み切ったのは、高校生になってからだ。
というわけで、自分はさっき大学の帰りに、島村楽器に寄って、ブルースハープとやらを買ってみた。ちなみにブルースは一度も聞いたことがない。けれど僕もちょっと何だ、文化的な嗜みというやつをやってみようかなあと思ったのである。
最後に、本当はもっと書きたいことがあるのだが、今日日本哲学のF先生が講義内で挟んだ一節を紹介する。「ペラペラ喋るという言葉があるが、このペラというのは、つまり薄っぺらいのペラってことなんだな。だから私が思うに、ペラペラと喋る人は、場合によっては、自分が軽薄な人間であるということを曝け出しているに過ぎないわけなんだ」というふうなことを仰っていた。なるほどその通りだと思った。
まさに今の自分のことである。僕には教養がない。そしてその自分の軽薄さを、このような日記で、ペラペラと語っている。
それなので突然だがこの日記はとりあえずこれで一区切り付けたいと思う。
もう書かないかもしれないし、また書くかもしれない。
素人童貞記 共通の知人X @cudu
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