第4章:無力さに打ちひしがれても求める衝動

タイトルの『イカロス』が象徴する、本作のクライマックスです。


【第15話 冬】

https://kakuyomu.jp/works/16818093077936384771/episodes/16818093078580136538


タイトルとなったギリシャ神話と本作の関連が描かれます。

卒業が近付くにつれ、破綻(別れ)が

冬枯れの季節のように、現実味を帯びてゆきます。


極細の繋がりを象徴するネックレスも、

よく考えたと思ったエピソードの一つです。





【第16話 ふたりの空間】

https://kakuyomu.jp/works/16818093077936384771/episodes/16818093079015083966


哀しみの痛みが伝わる事を目指し執筆しました。


『相反する感情が、体を駆け巡る。

カフェインと睡眠薬の同時服用のような、感情の混乱』


この16話の要点です。

愛情と性欲、初体験の不安、彼氏への嫉妬、悔しさなどを

グチャグチャに内包しながら、初めて彼女に触れる。






【第17話 イカロス】

https://kakuyomu.jp/works/16818093077936384771/episodes/16818093079111563652


本作のクライマックスで、このシーンに向けて

この物語は進んできたとも言えます。


男性視点で分かりにくいという、ご意見もありました。


自分の作品を解説するのは、

技量不足を自ら露呈するようなもので

とても恥ずかしい事です。




本作のテーマは『格差恋愛の苦悩』です。


男にとって、恋愛成就のゴールはセックスとも言えます。

しかも、童貞の修にとっては初体験。

恋愛の中で、最も緊張する瞬間です。


ところが絵理香は、彼氏と経験がある。

ラブホテルのチェックインの仕方を、知ってる位の経験がある。



またも突きつけられる格差。

勝ち目のない、彼氏への嫉妬と悔しさ。

彼氏に対しても、絵理香に対しても、何もかも劣っている上に、童貞。


屈辱以外の、何ものでもありません。

男にとっては童貞というだけで、相当情けないものです。



愛情と性欲、不安と緊張、情けなさと悔しさ。

狂おしさで爆発しそうな苦しさを抱えながら、初体験をします。



どれだけ絵理香に与えられるか。

それだけを考え、たどたどしく行為を終えても

何の満足も安堵もありません。

彼氏に負けた気持ちと、自分への情けなさが

強まっただけでした。



事後に、絵理香の背中を触り

決定的な格差に、打ちのめされます。


棒切れのように、痩せた自分の身体。

絵理香の発達した筋肉。


『人生を、懸命に生きてきた君と、

人生から逃げ回ってきた、情けない男』



肉体の差を通して、人としての” 生き様 ”の差を

衝撃のように強烈に感じたのです。



誰を責める事も出来ない、自業自得の結果が、この格差であり苦しみの原因です。


出会った時から分かっている事。

好きになるほど、苦しくなる。

それが限界を超えて破綻した。

イカロスが熱に溶かされ、堕ちてゆく瞬間です。



最終話に向けての伏線も含ませました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る