第2話 アイライブ

 タクシーに乗り10分程たった頃、事務所アイライブについた。そこから、事務所のあるビルに入った。


 ビルに入ると、スーツを着た若い女性が近づいてきた。


 「真由、そちらが昨日言っていた、一誠さんてすか?」

 「うん、その通り。これが、私の幼馴染の一誠だよ」

 「どうもはじめまして、神楽一誠です」

 「はじめまして、真由のマネージャーの天宮雫です」


 それから、雫さんが事務所の一室に案内してくれた。昨日、真由が雫さんにお願いをして、俺だけの為にオーディションをしてくれるらしい。真由が俺に才能があると事務所に力説してくれたらしい。これでオーディションをしてくれるのだから、真由も人気のVtuberなのだろう。

 

 それから俺は、雫さんに自己紹介をした。雫さんいわく、俺の声は聞き心地が良いそうだ。


 「一誠さんはVtuberになったら、どんな事を中心にやっていきますか?」

 「そうですね、ゲームと雑談中心ですかね、あと、歌も歌えますよ」

 「わかりました。1週間後にある、4期生の初配信枠を追加しておきますね」

 「えっ、オーディション合格でいいんですか?それに、3週間後に初配信って」

 「はい、真由が推薦した時点で、社長が乗り気でしたから」


 ここの社長は、こんな急に決めてもいいのだろうか。まぁ、早くVtuberになれるなら、いいのだけども。


 「それでは、また明日、事務所に来てください。その時に、また色々と決めましょう」

 「わかりました。では、また明日来ます」

 「真由は話があります」

 「えっ、私!?」


 真由は、まだ用事があるそうだか、俺はすぐに家に帰った。3週間後にはVtuberか、楽しみだな。


───────

 

 一誠が、帰った事務所の部屋で雫と真由が話し合っていた。


 「真由、次からはあんな無茶しないで下さいよ」

 「まぁ、いいでしょ。一誠、才能あるんだし。それより、一誠の2Dモデル、間に合うの?」

 「アイライブは大手事務所だから、イラストレーターもいますし、多分間に合います」

 「それは、良かった」


──────


 翌日また、アイライブの事務所に来ていた。


 「毎回、真由が付いてこなくてもいいんじゃないか?」

 「別に、いいでしょ。気になるんだから」


 それから、昨日の部屋に向かった。


 「おはようございます、雫さん。今日はよろしくな願いします」

 「おはようございます、一誠さん。こちらこそよろしくお願いします。で、なんで真由、あなたまでいるの?」

 「別にいいでしょ。先輩として、色々一誠に教えてあげるからさ」

 「はぁー、わかりました。では、さっそく─」


 そこから、1時間程話し合った。設定やら、活動方針やら。設定は、あんまり決めなかった。ただ、クールな感じと大雑把だった。


 「一誠さんの2Dモデルのイラストはどうしますか?」

 「あっ、それなら自分で描くんで大丈夫ですよ」

 「えっ、一誠さん描けるんですか?」

 「はい、描けますよ。何人かのVtuberのイラストも描きましたし」

 「ちょっ、一誠聞いてないんだけど!?私のも描いて欲しかった」

 「一誠さんって、イラストレーターだったんですか!?それに、Vtuberって誰のやつですか!?」

 「まぁ、趣味で描いてた感じなんでイラストレーターってほどでもないんですけどね。それと、Vtuberは春猫さんと、ミカヅキさんですね」

 「2人とも、うちの事務所のVtuberじゃないですか。あの2人のママは確かイチカワって人だったはず、てことは、一誠さんはイチカワさんなんですか!?」

 「前に、その名前で活動してましたよ」


 それから雫さんに質問攻めされた。どうやら、イチカワ、つまり俺は、自分が思ってるより有名だったらしい。絵がものすごくうまいのに、もうネットのアカウントがないからと、幻の存在になっていたとか。


 ちなみに、イラストも俺が極めたものの1つだ。

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