天才、Vtuberになる

@yyotyo

第1話 Vtuberになります

 生活感のない部屋で、一人の男が仰向けに寝ていた。


 「あ〜、暇だ」

  

 それが俺、神楽一誠だ。


 小さな頃から何でも出来ていた。勉強は、授業を少し聞いていれば、テストで100点を取ることが出来た。


 運動もだ。1ヶ月間本気で練習すれば、全国大会出場レベルまで、出来るようになる。


 だから俺は、たくさんの事を極めた。勉強は様々な言語を習得した。スポーツだって、サッカー、野球、バスケ…、格闘技だって極めた。それだけじゃない、音楽、絵、芸術だって極めた。


 それに、容姿だっていい。自分で言うのもなんだか、完璧人間すぎる。


 そんな調子で今、高校1年生の夏休み。


 暇だ。もう、極めるものがない。だから、無気力に寝ていたら家のチャイムがなった。


 「は~い、今行きます」


 玄関に向かい、扉を開けると


 「おはよ、一誠!」


 そこにいたのは、俺の幼馴染の一ノ瀬真由。金髪ポニーテールの可愛い女の子。


 「あぁ、おはよ」

 「てか、一誠、その鬱陶しい前髪切りなさいよ」

 「いや、髪切ったら女子がよってくるだろ」

 「それ、自分で言ってて恥ずかしくないの?」

 「事実だろ」

 「まぁ、そうだけどさ」


 こいつとは、生まれた頃からの付き合いだ。俺と真由は1人暮らしをしてる。真由の部屋は俺の隣にある。こいつの親は、金持ちだから無理言って、俺の隣にしたんだろう。


 「真由、そういえばお前、Vtuberなんだろう?」

 「そうだよ、もしかして一誠、Vtuberに興味ある?まぁ、一誠がVtuberなんて─」

 「あぁ、俺もVtuberになろうかな」

 

 真由がVtuberだと知ったのは、つい最近だ。真由が数ヶ月前にパソコンなどを買っていたから、聞いてみたらVtuberになったとの事だった。


 「えっ、一誠がVtuberになりたいの?」

 「あぁ、興味がある。だから、色々と教えてくれ」

 「ほ、本当!?わかった、私が教えてあげる」

 「ありがと」

 

 真由は嬉しそうに笑顔になった。


 「とりあえず、私が事務所に推薦しとくね!」

 「それ、いいのか?普通オーディションとかあるんじゃないのか?」


 まぁ、早くVtuberになれるならいいや。


 「一誠なら大丈夫よ、マネージャーに言っておくね」

 「わかった」




──────


 「一誠もVtuberか〜うれしいな。コラボとかも早くしたいな」


 私はポケットから、スマホを取り出しマネージャーに電話をかけた。


 「もしもし、マネージャーお願いがあります。私の─」




 



 翌日、真由が所属している事務所『アイライブ』に行くことになった。


 「随分急だな。昨日言ったばかりなのに」

 「フフン、褒めてもいいんだよ。マネージャーに無理言ったんだから」

 「お前のマネージャーは可哀想だな」

 「どういう意味よ。まぁ、いいわよ。それより、準備して」

 「わかった」


 それから洗面所に行き、顔を洗い髪を後ろで結んだ。服を着替えて、再び玄関に向かった。


 「あいかわらず、かっこいいね」

 「そりゃ、どーも」


 それからタクシーに乗り、事務所に向かった。



 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る