第5話

 ペタペタと前を歩くアルベルトの足元から聞こえる。裸足に加え長い三つ編みの先を引き摺りながら歩くので踏まないようにと距離を離して歩く。するとアルベルトが振り返り不思議そうにしている。

「何故距離を開けて歩くのだい?蝉ちゃんと私は相棒だろう?」

「いや、お前の髪を踏みそうなんだよ。あとなんで裸足なんだ」

「靴で髪を踏んだら凄く痛かったのだよ…だから裸足で歩くことにしたんだ。勿論床は綺麗にしてるし髪も足も綺麗にしているよ!」

そういう問題なのだろうか。思考回路を聞くと、どことなく野生児のような印象を受ける。そのままアルベルトの後ろを歩き食堂に着いた。

「ここが食堂!というか…厨房かな。みんな自分で作ったり冷凍食品をチンしたりするんだ」

「それで足りるのか?建物の大きさ的に何十人もいそうな印象を受けるが」

「ここの支部は私と君と、残りの2人の4人だから足りるよ」

「それしかいないのか」

警察や自衛隊のようなものだと認識していたから少人数なことに驚いた。アルベルトは冷凍パスタを2人分温めて俺の前に差し出し、隣に座り元気よくいただきますと言い食べ始め、そういう場所はしっかりしているのかと関心しなが自身も食べ始める。食べながら今日のスケジュールを話し始めた。

「今日は戦闘服の寸法合わせに武器の適正チェック、時間が合えば管理者に挨拶をするよ」

「管理者、というのは?」

「挨拶するときに紹介するよ。さあ!戦闘服の寸法を図るよ!」

そういい俺の腕を引いてアルベルトの部屋に連れて込まれた。数分して解放されたが、やけに疲れた。上半身裸にされて、工具用のメジャーを当てられ、筋肉が少ないだの何なの色々言われた。確かに健康や体型維持のために多少散歩などをしていただけで、小中高と運動はしていなかった、というか嫌いだったからなるべく避けてきた。なのに今さら生活に必要以上の筋肉を付けろと言われても困るというものだ。寸法をメモし終えたアルベルトが部屋から出てきた。

「お疲れ様!次は武器の適正チェックをしよう。3階に行こうか」

そういい昨日の階段で3階まで上り、廊下の右側の扉を開ける。そうすると沢山の武器と練習用の人形や的がある。

「これは、本物の武器か?」

「まさか。これはレプリカで実際に使っても傷を付ける事はできないよ」

打撲はできるかもね、といいレプリカを俺に持たせる。プラスチックで出来ているからか軽く、肌触りがいい。

「蝉ちゃんは何か武器をもったことはあるかい?」

「持ったことあるわけないだろう」

アルベルトはほうほうと言い様々なレプリカを手に持っては置くのを繰り返している。ふと入り口側から右にある銃のレプリカを見て猟銃免許を持っていたことを思い出した。18歳の誕生日になってからすぐの7月の試験で合格して晴れて猟銃免許を取ったが何にも使わなくて忘れていた。

「そうだ、猟銃免許は取得したことがある。免許書は多分財布の中にあると思う」

「猟銃…銃は触ったことがあるんんだね?」

アルベルトは持っていたレプリカを元の場所に戻し、銃のレプリカがある場所に行き何種類か持ち中央にあるテーブルに広げる。側によると全て猟銃に使われている種類だ。

「この中で手に馴染むものはあるかい?」

そう言うので何個か持っては構えてを繰り返し1番馴染む上下二連の散弾銃にした。これにすると言うとアルベルトはレプリカをまた元の場所に戻し俺が選らんだ銃の説明書らしきものを読み始め、暫くたったあと説明書を置き唐突にアルベルトが「ファケレ」と唱えた。すると水色の繊維状のものがアルベルトの手の上に集まり、次第に銃の形を作り、シュゥゥゥゥゥと蒸気のような音を立てアルベルトの手に落ちた。何事もなかったような顔をしているアルベルトに意味が分からなくてはぁ?と拍子抜けしたこえを出してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

OUTSIDE-ORDER @s0_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る