間違えた人生

下上筐大

第1話

人生とは選択の連続であるとはよく言われることで、人生は二択の連続であることに異論を唱える人はまあいないだろう。する、しない。食べる、食べない。寝る、寝ない。日常は些細な大量の二択の選択で溢れてるわけだが、生きているうちには大きな、その後の人生を大袈裟でなく変えてしまうような重大な二択というものの選択を迫られる時がある。

後悔のない人はいない。あのとき、違う方を選んでおけば、今はもっと良かったになんて思ったことがあるだろうが、普通に生きている人たちのそうした後悔なんてものは特に大したものでもないのだ。後悔にみせかけた自分の人生の肯定だ。本当の後悔なんてのは、本当なんていうとうさんくさいが、本当に後悔してる人はしない。ただ、絶望するだけだ。

自分の写真を見るのは好きではない。写りが悪いからとか、当時を思い出して恥ずかしくて、見てられないとかそんな理由ではない。ただ、今の自分が確かにそうした形で存在していたとは思うことができないのだ。

ここにある学生の頃の写真を一つ見てみると彼は笑っているが、これは間違いなく純粋の心から来る笑顔である。生活というものに苦を感じたことの無いといった印象を強く受ける顔だ。何を考えて生きていたのか。検討もつかないが今のような暗闇に佇むような感じでないことだけは確かなのだ。

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間違えた人生 下上筐大 @monogatari

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