第21話





 社長さん主催のゲーム大会の連絡から数日。

 グループチャットにて、社長さんからゲーム大会でプレイするゲームが告知されたので、その日の夜にチームメンバーである如月きさらぎ ネコルさんと話し合う為に早速通話を開く。



「ブレード&マジック…?」


『Live:storyの社長の自作ゲームらしいよ。…ゲーム大会で自作のゲーム使うって、相変わらず狂ってるね社長さん』


「ネコルさん…なかなか辛辣ですね?」


 話し合いを初めてすぐに、いつも優しく接してくれるネコルさんにしては珍しい辛辣な言葉がでてきて気になっていると、ネコルさんがその理由を説明してくれる。


『…いやだって…社長さん、僕が面接合格した時に、わざわざ本社まで呼び出して猫耳と猫の尻尾の魅力を30分説明し続けたんだよ?』


「……本当に社長さん何やってるんですか??」


『でしょ!そうなるよね!』


「ネコルさんが辛辣な口調になるのも納得ですね…」


 私の詳細を他の人に報告しなかったのも中々におかしかったけれど、ネコルさんの件も負けず劣らず異常ですよ社長さん…。

 本社で猫の魅力を話続けられる場面を想像して、ネコルさんの対応に納得してしまった。


『でも、狂ってるのに才能は凄いんだよね社長さん。今回のゲームも自作とは思えないしさ』


 そう言ってから、ネコルさんがチャットに大会で使われる自作ゲームの詳細が記されたリンクを送ってくれる。


 早速それを読んでみたけれど…



「い…色々書いてあってよくわかりません…」


『あっ、ごめんごめん。そういえばゲームそんなにした事ないんだったね…僕が説明しようか?』


「すいません…お願いしても良いですか…?」


『りょーかいっ。えっとね……決められたステージで、各々が選んだ職業と3つのスキルを駆使して戦う乱闘ゲーム…って感じみたい』


「3つのスキルで戦う…ですか?」


『そうそう。例えば巨大化ってスキルを選んだとしたら、大きくなった身体でステージ中を動けたり…二刀流ってスキルを選んだとしたら、本来は1本しか持てない剣を2本持てたり』


 詳細を読んだネコルさんが私にもわかるように説明をしてくれて、ほぼゲーム未経験の私にも、ブレード&マジックの仕様が少しづつわかってくる。


 …でも、聞けば聞くほど…



「…これ自作した社長さん凄くないですか…?」


『それは僕も思う…スキルもこれ何個あるの…??』


 パッと見る限りでも、余裕で100個以上のスキルが並んだ欄が表示されていて、社長さんがゲーム制作にどれだけの時間と労力をかけたのか、私にはまったく想像もできない。


『その分、この類のゲームにありがちな職業とかは無いみたいだから、スキルの組み合わせが重要なのかな…これ以上は実際にプレイしてみないとわからないね』


「確か…他の人達のチームが決まってからプレイできるんですよね?」


『そうそう。同じタイミングで練習始めないと不公平だからね』


 他のチーム…私とネコルさんはすぐに決まったけど、同期の玄冬さんやグリモさんは誰と組むのかな…?

 私は、ネコルさんと同じ同期の、武蔵野むさしの 玄冬げんとさんと、グリモ・ネクローゼさんの2人のことを思い浮かべる。


『あっ、そうそう。僕とメルトちゃん以外の同期は、先輩達と一緒にチームを組んだみたいだよ』


「あっ、そうなんですか?」


『うん。グリモちゃん人見知りだからチーム組めたのか心配になってさ、チャットで聞いてみたら「せ、先輩に誘われちゃいました…」って震えた声で報告されたよ』


「グリモさんが組めたなら安心ですね…自分から誘うのは難しそうですし」


『あの子の人見知りは筋金入りだからね〜…その点、玄冬さんは自分から同性の先輩を誘ってチーム組んだみたい』


 以前の配信で直接会ったグリモさんを思い浮かべて、先輩に誘ってもらえて良かったな…と再度安心する。

 多分自分からだと凄い時間かかったんじゃないかな。


 でも、2人が無事にチームを組めたという事は…



「…2人のチームとも、戦うんですよね」


 何回も話した事のある、友人と言ってもいいであろう2人の同期と競い合うことを想像して、少し気分が落ち込んでしまいます…


『まぁ、そうだね…でも、戦うからには勝ちを狙わないと…!』


「ネコルさん…凄いやる気ですね」


 そんな私とは対照的に、電話から聞こえてくるネコルさんの声には勝利への意欲が感じられる。


『だって、VTuberとしてデビューしてから初めてのイベントだし、それに…』


「それに…?」


 奇妙な間を空けて止まってしまった言葉の続きが気になって、思わず聞き返す。


『それに…せっかくメルトちゃんと組めたんだし、どうせなら2人で良い思い出作りたいし…さ…?』


「…!」


 電話越しなのに、恐らく顔が赤くしながら話しているであろうネコルさんの照れが言葉だけで伝わってきて、何故か途端に顔を逸らしたくなってきてしまいます…!


「そ…そうですね。私も、ネコルさんと良い思い出作りたいです…」


『う…うん!一緒に楽しもうね…!』


 そのまま、何故か少しドギマギしながら会話を続けてから、「おやすみなさい」とお互い言い合ってネコルさんとの通話を終わらせた。





───────────


 ……通話が終わったことを見計らってか、数分ほど時間を置いてから、使い魔のキャスパーがドアをノックして部屋にやってくる。


「メルト様。お休みになる前にお飲み物等は……おや?」


 部屋に入ってすぐ、私の顔に視線を向けると、そのまま私の事を興味深そうに凝視してきた。


「…どうしました?」


「メルト様、もしや熱があるのではないですか?」


「えっ、…特に体調に問題は無いと思うのですが…?」


 私がそう答えると、不思議そうな顔をして再度私の顔を眺める。

 そして懐から何かを取り出すと、それを私に差し出す。


「ですが…メルト様、こちらの手鏡で自分の顔をご覧になって見てください」


「まぁ…良いですけど…」


 渋々了承して、手渡された手鏡を眺める。


「…?!?!た、確かに風邪かもしれません!移してしまうとダメなので、キャスパーもそろそろお休みになってください!」


 鏡を眺めた私は、大慌てでキャスパーを部屋から追い出す。

 キャスパーは「ですが…」と最後まで私の事を心配してくれていたけれど、何とか説得すると渋々部屋から出てくれた。




 再度、机の上に置いた手鏡を握って、その鏡面に写る顔を眺める。


 …そこに写し出された私の顔は、明らかに頬が紅潮していて、その理由がわからない私は、急いで布団を頭まで被って無理やり眠りに着くのだった。






「…………風邪…ですよね…?」



 ✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -

 もしも読んでくれた人がいるなら…


 初心者の執筆なので、言葉の違和感や誤字などがあるかもしれません。もし見つけたら遠慮なく指摘していただけると助かります。


 更新頻度も不定期ですが、続きが気になるって思ってくれた人がいれば嬉しいです。


[作者コメント]

 続きがまったく思い浮かばなくなって、もう書けないってなったら引退します。

 できる限りは書きます。

(登場人物同士がお互いをどうやって呼んでたのかとか、口調とか忘れかけてて少し以前の話と齟齬があるかもです…)


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不滅の魔女様、VTuberになる。 猫好きのユリスキー @amano111

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