「侯爵令嬢」筆者しろうるりの反省

しろうるり

「侯爵令嬢」筆者しろうるりの反省

■序文


「侯爵令嬢アリアレインの追放」の連載を、無事に終えることができました。

 これを読んでくださっているということは、たぶん本編を読んでくださったということだと思います。

 本編の完結までお付き合いいただいた皆様、どうもありがとうございました。


 読んでおられない方は、できれば本編を読んでやってください。

 単独で読めなくはないと思いますし、ネタバレには一応の配慮をしていますが、あとがきのようなものでもあります。

 自分では面白いと思って書いた作品ですので、よろしければ是非。



■これを書いた意図


 もともと、「侯爵令嬢アリアレインの追放」を執筆した意図の中に(あとで触れますが)多分に実験のような部分があり、実験であれば振り返りが必要、と考えていたものです。また、執筆のきっかけのひとつが他所様の振り返りであったことから、やはり自分なりの振り返りを書いておきたい、と思っていました。

 完全に鳴かず飛ばずであれば公表するようなものではありませんので、「駄目だったかー」とか言いながらひとり反省会をやっていた(あるいは創作意欲そのものを失って反省会もやらなかった)のではないかと思います。


 そのようなわけで、ランクインしたら公表、くらいのつもりで、連載開始時からぼんやりと考えていました。


 己の公表基準は連載開始日に突破してしまったので、こうして書いている次第です。


 タイトルのとおり、筆者による振り返りと反省がメインです。

 よろしければお付き合いくださいませ。長いと思いますけど。



■これは何でないか


 創作論ではありません。

「このように書くべきだ」とか「いい作品というのはこういうものだ」というようなことを言う気はありません。


 ノウハウではありません。

 今回はうまくいっていますので、「どうしたらうまくいったか」には(結果的に)なっていますが、「どうしたらうまくいくか」は扱うジャンルやテーマ、作者の武器(筆力、構成力、作品に関する拡散力など)が千差万別すぎて、筆者の手に負えるところではありません。読んだ方がご自身にとって役に立つ部分を抽出できれば、「どうしたらうまくいくか」のヒントくらいにはなるかもしれませんが。



■「侯爵令嬢アリアレインの追放」を書いたきっかけ


 もともと何かを書くのは好きな方で、ちまちまと長編を書いてはいました。

 が、なかなか完結まで気力も興味も続かない。よくあるやつですね。


 そこで、とにかく1本、単行本1冊分くらいの分量の長編を本気で書こう、書いて完結させることで何か見えるかもしれない、と考えたのがそもそものきっかけです。


 こういうことを考えていたのと同じくらいの時期に、「小説家になろう日間総合ランキング一位をとった作品の構築経緯と振り返り」というエッセイを拝読し、「あーなるほどねー、自分もちょっとやってみるかな、自分に落とし込んでやってみたら面白いかもしれないな」と思ったのもきっかけのひとつです。



■書く前にやったこと


1 前提の確認(ルールの確認)

 投稿先は「小説家になろう」(以下「なろう」)と決めていたので(それ以外の投稿サイトをあまり意識していなかったとも言う)、なろうのランキングシステムを確認しました。

 ルールをきちんと把握しとかないと戦えないですよね。

 検索すると普通にぽんと出てくるので、それを読んで咀嚼しただけです。


 筆者のざっくりとした理解では、


 ・なろうのランキングは「ブックマーク」と「評価」で得られるポイントを、作品ごとに所定の期間で集計して高い順に並べたもの。日/週/月/四半期/年で区分けされており、期間を区切らない「累計」がある。

 ・ランキングはジャンルで区分けされており、それらをぜんぶいっしょくたにした「総合」がある。

 ・総合は300位まで、ジャンル別は100位までがランク入り扱いされて「小説を読もう」の「ランキング」に表示される。

 ・想定していた投稿ジャンル「ハイファンタジー」の日間ランク入りポイントは日によって異なるが、だいたい100位ラインが80~100ポイント程度。

 ・なろうにはランキング以外の導線がほぼ存在しない。投稿時にはトップページに載るものの、投稿数が多すぎてまともな導線にならない。

 ・ランキング以外の導線が実質ないことから、ランキングには強い正のフィードバックがある。ランキングに乗れば(あるいは上位に行けば)読まれる機会が提供され、更にポイントを稼ぐことができるが、ランキングに乗ることができなければ読まれないのでポイントが入らない。


 という感じです。



2 前提の確認(手札の確認)

 ルールを把握してないと戦えませんが、ルールを把握しただけでは戦えないので、手札(自分が持っているもの)を確認しました。

 ルールと自分が持っている武器、環境を全部きちんと認識できてはじめて戦う準備ができたと言えると思います。


 連載開始前の筆者の自己評価は、


 ・テーマ設定能力:わからない(きちんとやったことがない)。

 ・文章力:わかりやすい(誤読の余地の少ない)文章を書く能力は高め。小説、あるいは創作として読ませる文章力も低くはない(仲間内ではわりと評判がいい)。語彙力は高め。

 ・構成力:わからない(きちんとやったことがない)。

 ・文体/筆致:なろうの主流からは外れている。


 ・読んでくれる人:少数なら心当たりがある。

 ・拡散力:筆者本人にはない。それなりに拡散力のある友人が少数いる。


 ・知名度:0


 こんなかんじでした。

 手札少ないっつーか弱くねえか、と思いましたがまあどうしようもないのでこれで戦うことにしました。



3 目標設定

 ・単行本1冊分(10万字程度)を目安に長編を投稿し、完結させること。

 ・ランクインすること。期間やジャンル別/総合の別は問わない。


 優先順位は上>下です。でした。



4 リサーチ(環境の確認)

 環境確認として、ランキング上位の作品を1か月くらい読み漁りました。

 総合とハイファンタジーを中心に、たまに異世界恋愛に手を出す、という感じです。

 長期連載してる作品を全部は読めないので、だいたい冒頭数話を読んで雰囲気を掴む、短編や短期連載型のやつは一通り読む、というのをしばらく続けておりました。


 統計は取っていません。だいたいどんなのが流行ってるか、を実感として見てみたかっただけですし、未知のものをどう区分して統計を取るか、どういう切り口で分析するか、とか考えだすとそれだけでめっちゃ手間と時間がかかります。


 というわけで体感では、


 ・総合の日間ランク上位は、異世界恋愛の短編の占有率が非常に高い。

 これについてはあとで考えたのですが、だいたい昼休みや通勤時間帯のアクセスが有意に高く、つまり仕事前や休憩などの隙間時間に読む人が多いんですよね。

 そうすると、さらっと読めて読後感が良く、ほどよくテンションを上げられる異世界恋愛の短編が上位を独占する、というのはとても自然な現象のように思えます。

 ・傾向として、婚約破棄からのざまあやその派生が多い。

 本人に特殊能力があった、実は重要なポジションを占めていた、超越存在や身分的により上位の誰かに見初められる、などの経緯で主人公は幸せになる(あるいはもう恋愛などに興味を持たず好きなように生きる)が、振った相手は……みたいなやつ。

 ・本人の特殊能力には、死に戻り(生前知識による実質予知)、転生(前世知識による実質予知)などのほか、強大な祝福/バフ能力/デバフ抑制能力などもある。バリエーション豊か。

 ・単に相手がやらかして転んで主人公は今までどおりやりつつもやらかす婚約者が消えたのですっきりした人生を歩める、みたいなパターンも。


 ・ハイファンタジーは、だいたい転生チート系が隆盛していて、「どのポジションに転生するか」とか「転生後に何を目指すか・何をやるか」あたりで差別化してるかんじ。そのへんは千差万別。

 ・追放ざまあ系も流行ってる。こっちは「本来どういう能力を持っているか」「それをどう活かしてざまあに繋げるか」で差別化してる感。これも千差万別。

 ・チートと同じくらいハーレム展開もお約束めいている。1on1の恋愛要素少なくない? そっちは異世界恋愛なのかもしれないけれども。


 ・異世界恋愛/ハイファンタジーのどちらも、完全現地主人公(転生、死に戻り、前世知識等がない現地生まれ現地育ちの主人公)は少数派。というかあんまり見ない。


 ・ここまで挙げたものとは別軸でスローライフ系がある。こっちは転生した/追放されたetc.の主人公が世に出ることを望まずにユルくも充実した生活を送る系統で、「どういう能力を持っているか」「どこでどういうスローライフを送るか」で差別化してる印象。これはこれで千差万別。


 ・ジャンル共通して、ハイランカーはだいたいハッピーエンド。バッドエンドな作品は紹介文で触れられていて、そこは良心的だなと思った(ハピエン厨なので読まなかったけど)。

 ・ジャンル共通して、ハイランカーになるためには「テーマ」「話の進め方」「文章力」の3つのパラメータのうち少なくとも2つのレベルが高くないといけない。また、おそらく足切りがある(どれかが極端に低いと他が高くても駄目)。たまに3つ全部ハイレベルなバケモノがいるし、1つが抜きんでて高い突然変異種みたいな作品もある。


 ・続きもののハイランカーはほぼ例外なく導入できっちり掴みにくる。

 ・たまに例外があるけど、よく見てみると別作品で既に売れてる(実績のある)作者だったりする。つまり読者からの信頼が既にあるのであれば、ホットスタートは必須ではない。逆に言うと、新参は最初の数話、できれば第1話で読者を掴めなければ(ランキングにおける正のフィードバックと相まって)勝ち目がない。


 だいたいこんなかんじでした。


 ハイランカーの傾向は何となく掴めたけど自分がそこに行くのは控え目に言ってかなり難しいし、そもそもなろうのランキングシステムは読む側からするとめっちゃ合理的(貴重な時間を使って読む側としてはハズレを引くリスクは低い方がいい)だけど新参には無茶苦茶厳しいから芽が出ずに沈む可能性の方が遥かに高い、じゃあ自分と自分の作品がここで浮かび上がるためには何をすりゃいいんでしょうか、みたいなことを考えることになりました。



5 テーマ・コンセプトの設定

 ルールと環境、自分の手持ち武器を踏まえて、作品のテーマ・コンセプトを考えました。


 まず何を書くかが超重要なのですよね。筆者はお話を量産できるタイプではないので、テーマやコンセプトをきちんと決めてやらないと、と思っていました。

 このあたりはリサーチ結果で読まれてるものから何か持ってくることにしました。どれだけ読んでもらえるかのチャレンジでもあるので、読まれてないテーマだとあまり意味がない、と考えたためです。


 ざっくりと男性向けだと


 ・チート系

 ・成りあがり

 ・ハーレム展開


 あたりが流行りで、あとはこの組み合わせとスタート地点や目的で差別化してる印象がありました。

 筆者がこっちを選ばなかった理由は、


 ・ライバルが多すぎて上に行ける気がしない。

 ・考えつく組み合わせはだいたい試されているように見える。抜きんでるためにはブレイクスルーが必要。

 ・自分の文体や筆致と合わない。


 最後のやつを詳しく説明しますと、チート系で求められる魅力というのは「なんか凄いことを軽やかにこなしてしまう」というところにあると思うんですよね。ハーレム展開とかもそうで、主人公の魅力(何でもいいです。暴力だったり、知力だったり、金や金を稼ぐ能力だったり、それらと性格の組み合わせだったり)が様々な背景や個性のあるヒロインを魅きつけるのを楽しむわけですよね。

 筆者もそういうのはわりと好みなんですが、さて翻って自分の文体を見て、書くべきものを見たときに、テーマの魅力を自分の文体で引き出せるでしょうか、というところがかなり怪しい。

 端的に言って、自分の文体では重すぎるな、と思ってしまいました。生々しさが前面に出ちゃうハーレム展開とか、好きな人は好きなんでしょうが、ちょっと今回のチャレンジの趣旨からは外れそうだな、と。

 あとこのあたりは身近な畏友(TRPG仲間にして現役小説家)という名手がいるので、自分で書かなくても彼の作品を読めばいいじゃん、絶対そっちの方が質が高いんだから、と思ったというのもあります。



 女性向け、というか異世界恋愛系だと、


 ・溺愛系

 ・婚約破棄/追放ざまあ

 ・愛情のない婚約/結婚からの独立逆転


 あたりがメインストリームで、これもまあ勉強とリサーチのために読んでた筆者自身が唸るようなやつが多い(ハイランカーなので当然といえば当然)。

 3系統のどれも(ハイブリッドも多い)、主流になっている作品は主人公やその周囲の特殊能力や転生知識が前提になっている印象がありました。特殊能力や転生知識をどう使ってどうひっくり返すか、その能力や知識の活かし方で差別化してる、という印象ですね。

 これもまっすぐメインストリームに突っ込むとライバルが多すぎて上に行けなさそう、という感想を持ったのですが、


 ・特殊能力や転生知識なしで逆転しちゃうタイプの主人公、あんまりいないね?


 というのが本作のテーマ設定に当たって最初に引っかかったところです。

 物理的に強くてどうにかしちゃう主人公はたまにいるんですが、このタイプはだいたいギャグテイストで書かれており、自分が進もうとしてる方向からはちょっとズレていました。


 あと婚約破棄/追放モノを読んでみると、


 ・追放って追い出すだけじゃなくて平和喪失タイプのやつ(ex.帝国アハト刑)だと死んでません?

 ・実家がガチギレして戦争みたいな話は(面倒だからか)あんまりないね?

 ・いやそもそも本人が「よしそれじゃあ戦争してやんよ」だったら?


 みたいな疑問が湧いてきて、このあたりでコンセプトが落ちてきました。


「もし貞」(もしも婚約破棄・追放宣告された令嬢の性格が足利貞氏(@バンデット)だったら?)です。


 足利貞氏は、ネットミーム化してる「武士の本懐とは、『舐められたら殺す』これに尽きる」の人ですね。


 読み漁った中には似たような作品がなく、そこにブルーオーシャンが存在する可能性があるという半面、単にコンセプト的に流行らない(レッドオーシャンにすらなれなかった魚のいない水域)という可能性もあり、これ本当にいけんのか、と悩みはしました。

 ただ、もうこれは書き上げた作品という網を投げ入れてみるしか確認する術はないし、駄目でもちゃんとやった上でなら「ここでは当たりを引けなかった」という結果が次に繋がるだろ、と割り切ることにしてプロットを作り始めました。



6 プロット作成

 大枠としては、連載開始時についったーで呟いていた「デッキタイプはハピエン型追放令嬢コントロール、レギュレーションはファンタジー・転生/前世知識なし・スパダリなし・魔法/超常能力なし」というやつですね。


 文体や筆致との兼ね合いでリアリティラインはリアルめに寄せる方向です。


 リアリティラインをリアルめに寄せる関係で、「周囲にまともな大人がいない」ことが必須の条件になり、国の摂政(王は実質いない)と侯爵家の名代(侯爵はいるけど事態が進展しきるまで介入できない)という立場が決まりました。

 あとは脳内地図を作って主人公側の勝ち筋/負け筋を決めて、負け筋を潰しながら勝ち筋側に寄せていく、純粋に軍事力の勝負だと絶対に勝てない(純粋に軍事力で勝てるようならそもそも舐めた真似をされない)ところを知恵と性格の悪さでどうにかしていく、というような筋立てを決めました。

 また、この段階で、「うまく書けば主人公が具体に何をしたかを隠したままある程度引っ張れるし、どこかのタイミングで『何を』を明かせる、軽くミステリ風味が付け加えられるんじゃね?」みたいなことに気付きました。執筆のきっかけのひとつでもあった「小説家になろう日間総合ランキング一位をとった作品の構築経緯と振り返り」にも「恋愛モノとミステリは相性がいい」的な記述があり、じゃあ追放令嬢モノとはどうだろう、と考えた、というのもあります。


 そんなわけで、


 ・鎌倉武士メンタルの侯爵令嬢が

 ・理不尽に婚約破棄&追放宣告されたので

 ・信頼できる部下を引き連れて

 ・知恵と性格の悪さで相手の勝ち筋を潰して自力救済して

 ・己の幸せを掴む(ハピエン)


 という大筋が決まり、自力救済の過程で取る手段については「何かヤバいことをやっている」ことを示しつつ具体的に何をしたかは明かさない、という形でちょっとしたミステリ風味に仕立てちゃおう、という形がまとまりました。

 己の幸せについてはまあいろいろパターンがあるんでしょうが、「主人公が理解されなかったから婚約破棄された」という経緯があるので、「主人公をきちんと見て理解してくれる相手と生涯仲良く過ごす」が今作のゴールとして相応しいかな、と思った次第です。

 あと筆者の癖(ヘキ)として「相互の信頼関係が何かをきっかけにして恋愛感情に化ける」というやつがあり、「深い信頼関係で結びついた主従(お互いふわっとした恋愛感情っぽいものもあるけど主人公に婚約者がいるので表には出てこない)が婚約破棄されたのをきっかけに関係を変える」というもう片方のストーリーはここから来ています。


 あとは登場人物の形を整えて、どういう悪さをさせるか決めて、引っ張り方を決めて、みたいな細部の詰めをやっていきました。詰める中でチョイ役の官僚が出てきたり、お気の毒な伯爵や子爵が出てきたり、不憫なおぢさんが出てきたり、とキャラクターが増えていきました。

 不憫おぢは「まともな大人だと自分の娘が王太子を婚約者から奪ったって知った瞬間に卒倒するんじゃないかな」という発想から生まれたキャラクターです。ちょっと悪ノリした筆者が「王太子サイドのまともな大人役はこいつに任せとこう」「じゃあ最初に頭下げて許してやってくださいって言うのこいつにしよう」「ついでだから男塾で言うところの雷電役(知っているのか雷電!)も任せよう」と役割が積み重なり、常識人かつ小心者、見た目はだいぶアレなおじさんだけど有能、という愛されキャラになってしまいました。出番の少ない主人公より人気出ちゃってる感ありますね。ご声援ありがとうございました。お気に入りなので大変嬉しいです。



7 タイトル、あらすじ、主人公の名前の決定

 流行りの、というかデファクトスタンダード化しているあらすじタイトルがちょっと苦手です。いや、内容がわかるのは読む側として非常に有難いのでそこを否定する気は毛頭ないんですが、このスタイルでうまくタイトルをつけて周囲と差別化する自信が全くありませんでした。


 いろいろ考えたのですが、条件としては、


 ・ジャンルや話の中身が何となくでもわかること

 ・短かすぎないこと(あとで検索に苦労するため)

 ・できれば印象に残るタイトルであること


 で、主人公の名前と肩書を入れて、追放令嬢モノであることが明らかになるように、ということでタイトルが決まりました。書き始めたあとで「侯爵令嬢アリアレインの婚約」にした方がよかったかな、と考えました(最終話でタイトル回収とか憧れませんか?)が、いわゆる溺愛モノと勘違いされそうだったのでやめました。

 各話のサブタイも同じフォーマット(【肩書】【ファーストネーム】の【2字熟語】)にする、と決めてしまうと、サブタイで悩むことがほとんどなくなったので、これはわりといい手だったな、と思っています。あと、サブタイの形が揃ってると「この作者なんか工夫してるっぽい」ってなって初見で読んでみる気になってくれないかな、とかも考えてました。

 最終話とエピローグはサブタイで読者の皆様を殴りに行ったやつです。きちんと効いていれば嬉しいのですが。


 あらすじは(どこかで書いたような気がするのですが)、映像作品の予告編みたいなのを意識して書きました。なろう、作品概要画面だと改行も空行も反映されねえのな。投稿して初めて知って「えっ駄目じゃんこれ」ってなりましたけど書き直す気力もなかったのでそのままです。

 書き溜めてあるとあのスタイルは楽でいいですね。作中に出てくる台詞を引っ張ってきて並べるだけなので。一部叙述トリックっぽい形になっちゃってるのもありますけど。見返してみたらいちばん遅く出てくる台詞が19話のやつでした。たしかそれ以降は連載開始後に書いたやつだと思います。



 主人公の名前の条件としては、


 ・唯一性があること(少なくとも検索してぱっと出てくるようなありふれた名前ではないこと)

 ・長すぎず、覚えられて、できれば印象に残る名前であること

 ・響きが美しいこと

 ・愛称としての短縮形が明らかで、短縮形がそれ自体で名前として普通に使えること


 というのがありました。

 いろいろと苦しんだ挙句、「複合型の名前にすると唯一性が出しやすい」「前半だけ切り取れば自然に短縮形にできる」という結論に至り、アリアレインとクルツフリートという名前が生まれました。

 短縮形の愛称は、作中でチラ見せしておいて最後の最後で読者様を刺すためだけに使うという、筆者的にわりと殺意の高いやつです。これもきちんと効いていると嬉しいのですが。



■何を考えて書いたか


1 途中で引っかからない文章にすること

 誤字脱字やあからさまな誤用の類は可能な限り減らしたつもりです(一部残ってますが校閲のプロでもないし許されたい)。

 筆者がそういうのをかなり気にする方なので(誤字や誤変換、あからさまな誤用を見てしまうとそこが気になって入り込めなくなる)、するっと最後まで読める文章、というのを意識して書いていました。「読みやすい」という評価は、そういう背景がありましたので、とても嬉しい評価でしたね。



2 初動でどうにかすること

 どうにかってなんだよ、というお話なのですが、ランキングシステムの効果と相まって、初動(少なくとも5話くらいまで)で一定の読者を掴めないと埋没する可能性が高い、というのは予備知識としてありました。

 とりあえず最初は可能な限り流行りの追放令嬢モノに寄せて、でも「なんかこの主人公おかしくね?」と思ってもらって、最初の5話くらいで「この主人公やべえ、ちょっと先を読んでみよう」となってくれればベスト、という意識で書いていました。

 初日4話+以後1週間は毎日1話更新、という更新頻度は、このあたりの予備知識とプランに沿ったものです。以後はストックの問題(予定されていた更新がないことは明確に読者離れを誘発する、という認識でいました)もあって、隔日更新を続けていたものです。

 結果としてここはだいたいうまくいったんじゃないかと思っています。

 唯一改善できそうなプランとしては、「1話と2話をまとめて第1話にしてしまい、初日の掲載分(4話)を現在の5話までとする」というやつでしょうか。主人公が明確にヤバさを見せるのが第2話、思い切りの良さと屋敷の使用人たちへの配慮や準備を見せるのが第5話なので、そこで話を切って次に繋げる、という形です。

 いま見返すと、第1話は売れ筋をなぞってはいるけどちょっとパンチ力が足りてない、という気がするのですが、中身を変えずとも切るところを変えれば初動の掴みとしては十分な威力になりそうに思えます。



3 書ききること

 連載中はひたすら書ききることを考えて書いていました。

 もともとがそういう趣旨のチャレンジなので、書ききらないと達成できないわけです。

 きちんとリサーチしたのも、考えてテーマを選定したのも、プロットを引いたのも、主人公やタイトルの名前で散々悩んだのも、なるべく多くの人に読んでもらいつつきっちり完結させるための手段です。


 ですので、5月の連休中から連載を始めて、6月も中旬になる頃に全部書き上げて「完結保証」というタグを付けたときには、本当に心から安心しました。その時点で「なるべく多くの人に」はこれ以上ないくらいの満足度で達成済みだったので、あとは書ききるだけ、という状況でしたから。



4 特定の読者に刺すこと

 筆者に限らず、創作をする人というのはだいたい「刺され」と思って書いたり描いたり作ったりしていると思うのですよね。

 筆者もかなり強く「刺され」と思いながら書いていました。

 想定していた読者は大学時代の友人たち(読書家が多い)とTRPG仲間(創作クラスタが多く、現役の小説家もいる)です。彼ら彼女らに刺されば、万人に受けるとまでは言わないけど、それなりの確率で読んでくれた人に刺さる作品になってるだろう、ということを考えていました。

 具体に何ができたわけではありませんが、やはり想定読者というか作品を刺す具体的な目標があったのはよかったと思います。



■何を書かなかったか


 話の展開に必要ないと思われることは一切書きませんでしたし説明もしませんでした。

 王国の名前が出てこなくても話は進むし、王国そのものの規模やマレス侯爵領の規模がよくわからなくても話は進むし、隣国がどんな国かよくわからなくても話は進むし、大臣の名前が出てこなくても話は進みます。進みました。

 いささか説明不足だな、と思わなくもなかったのですが、「テンポロスを避けろ」「話の展開に必要のない設定を長々と開陳するな、それは作者の自己満足でしかない」という畏友(なろう出身現役小説家)の教えを都度思い出して「まあなくても雰囲気で伝わるだろ」と割り切って書いておりました。


 お金とか長さとか重さとか、そのあたりも一切具体的な数字は書いていません。お金が屋台のシーンでちょっと出てきたくらいですかね。あれも「銅貨を置いた」くらいの描写だったと思います。

 貨幣単位(金貨銀貨銅貨)あたりはともかくとして、長さ重さにメートル法が出てくるとなんか現実に引き戻された感がありますし(転生/転移主人公の一人称小説なら何の問題もないと思っています。視点人物が慣れ親しんだメートル法で表記されるのはむしろ当然です)、かといって独自単位を設定するとどこかでその独自単位とメートル法(その他現実世界の度量衡体系)の換算を示さねばならず、いいや全部オミットしちゃえば説明の必要もなくなるだろ、何とかなる!なれ! で書いちゃった次第です。案外うまくいきました。


 時間単位だけはどうしようもなくて、何の説明もなく「刻」という単位を使っています。

 概ね2時間が1刻で、半刻(1時間)、四半刻(30分)、小半刻(15分)と短くなっていきます。それよりも短い、一般化・体系化された時間単位はありません。やっと書けた!


 コミカルなシーンはちょいちょい挟んでいるつもりです(面白いかどうかは別の問題ですけど)が、地の文にせよ台詞にせよ、現実世界側からギャグを輸入する、ということは一切やりませんでした。あくまでも登場人物視点で書く以上、そして登場人物全員が現地の人間である以上、「こっち側」のギャグを持ち込むことはできないはずなので。

 あと、「日本語の作文技術」だったと思うのですが、「読者を笑わせたいときに筆者が自分で笑うな、高座で噺家が笑うようなものだ」みたいな話があるんですよね(うろおぼえ)。なので、読者が笑えるシーンでも登場人物は全員クソ真面目に行動しています。

 唯一の例外として自分に許していたのが「後書き」です。あれは作品とは別物で、だから作中で出せない素の作者を持ち出せる場所、という扱いをしていました。


 後書きの定番、「ブックマークと評価を云々」は敢えて入れませんでした。

 もちろん、ブックマークも評価も喉から手が出るほど欲しいんですが、頼めばやってくれるかというとそういうものでも多分なく、その一言で現実に引き戻すくらいなら何も書かずに中身で勝負したほうがマシ、と思ったからです。だいたいどの作品にも似たようなことが書いてあるんだし、読み飛ばされて終了だろ、とかね。

 なろうで読む人は面白ければ黙ってても評価を付けてくれるし、続きが読みたければ黙っててもブックマークしてくれるでしょう、そのくらいには読んでくれる方を信頼すべきでしょう、と思っていました。



■迷っていたこと


 いろいろ迷いながら書いていましたが、大きく迷った・悩んだのは以下の点です。


 ・ジャンルについて

  筆者の中ではわりと明確に恋愛要素が入っているし、むしろメインテーマのひとつでもあるんですが、これは「異世界恋愛」なのか「ハイファンタジー」なのか、という問題です。結局、「自分的には恋愛ジャンルに入れてもいいけど恋愛ジャンルを読む方が所望している『恋愛』とはズレてるだろうし、『ハイファンタジー』にしとこう」という結論に至りました。


 ・タグについて

  すんなり決まらなかったのは「オリジナル戦記」と「ざまあ」の2つです。どちらの要素も筆者的には明確に入っているのでタグを付けるべきかどうか、というところで悩んでいました。結局「自分的には(略)ズレてるだろうし、付けないでおこう」という結論に至りました。ざまあについては、感想で「ざまあ展開に期待」的なやつを拝読するたびに「すまねえ……ざまあタグはついてないんだ……」みたいな感じでちょっと心を痛めていたところです。

  「ざまあ」も「戦記(戦争モノ)」も人によってラインが違うというか、筆者は戦記(戦争モノ)だと思って書いてましたし結末は(筆者的に)十分なざまあ要素が入ってるんですが、「えっでも戦争してないじゃん」とか「結末さらっと流しすぎでは?」みたいながっかりを提供するくらいなら最初からタグとして入れない方がいいだろ、という判断ですね。


 ・話の構造について

  それなりの数の方から出てきたある意味当然のご指摘、「主人公の出番少なくね?」というやつです。筆者もそこそこ気にしてはいました。でも、周囲から見た主人公や主人公がやったことを描写することで主人公を浮かび上がらせる、という話の構図は途中からではもうどうしようもなくて、書ききって読み返したら「やっぱちょっと陰が薄いね……」となってしまったという次第です。

  有難いことに「そういうのもアリだと思うよ」と言ってくださる読者の方もいらっしゃいまして、そういう感想は本当に強い支えになりました、ということをここで申し上げておきたいと思います。ありがとうございます。

  本作は知力と気概で逆転するタイプの主人公が「その場にいないのに影響を及ぼしていく話」で、そういう主人公とそういう話だから楽しんでいただけたスタイルだと認識しています。ですから、次の作品はいつどんなものを書くか決めておりませんが、本作ほど極端な形にはたぶんならないんじゃないかな、とは思います。たぶん。

  別の形でピーキーなやつを書いちゃうかもしれませんけど。



■ランクイン後


 このあたりは人によってさまざまだと思うのですが、筆者は連載開始後(つまりランクイン後)、明確に睡眠の質が悪化しました。

 寝ても4時間くらいで目が覚めてしまう(その後眠れない)、眠りが浅くなる、などです。


 あと、趣味なんでマイペースに続ければいいや、と思っていたんですが、なにか義務感のようなものが芽生えました。書かなきゃ、ってなるんですよね。

 結果的に、他の趣味と並行してやっていた、ある意味で他の趣味の片手間だった執筆活動があっという間に(仕事や必須の家事を除いた)自分の時間のほぼ100パーセントを占めるようになり、現在に至っています。


 ランクインしてもマイペースで続けられる人は是非そうすべきだと思いますが、自分がそういうタイプだと思っていても実際にはそうでないことがあります。こればかりはなってみないとわからないので、これからランクインやランク上位を目指してやるぜ!という方は頭の片隅に置いておくといいんじゃないでしょうか。



■リザルト


 筆者が想定していなかった当たり方をした、というのが正直なところです。

 ハイファンタジー日間の20位くらいまで上がってきたときに、「あ、これで振り返りするときに一定の説得力は出るな、『ここから上は未知の世界ですし、あとはこの振り返りから自分に合う部分を抽出して各自やっていきましょう』で〆ればいいや」とか思ってました。今思えば呑気なものです。

 ここを書いてる(6月下旬)時点で、


 「小説家になろう」ハイファンタジー日間/週間/月間1位、四半期3位、総合月間3位

  累計290万pv、累計ユニーク68万pv

 「カクヨム」異世界ファンタジー週間60位くらい、総合週間100位くらい


 を達成しています。


 何が良かったのか、正直なところ、筆者には把握できておりません。

 やり方に再現性があるのかないのかもわかりません。

 2作目以降が同じように当たれば再現性があると言えるんでしょうが、前提が変わってしまっているので、実質的に検証はできなくなりました。

 小説投稿サイトにおける弱者の戦略を取る必要が薄くなりました(たぶん「アリアレイン」を読んでくれた人のいくらかは「しろうるり」を読んでくれる人になっています――いますよね?)し、自分にとっての最適解はもう変わっているんだろうなと思います。


 ただ、当たった要素を振り返ってみるに、


 ・読まれているジャンルに隣接していて、かつ書いているライバルがいないところを見つけられたこと

 ・文体や筆致とテーマが噛み合ったこと

 ・筆者が結末までを見通した上で書けたこと

 ・最後まで投稿のペースを一定に保てたこと


 このあたりが多くの人に読んでいただけた、そして評価をいただけた要因だろうな、とは思っています。

 文体や筆致については今更なかなか変えられないものなので、今後も合うテーマを探しながら、自信を持って書いていこうと考えています。



■受賞と書籍化について


 ありがたいことに、「小説家になろう」にて開催されておりました「第6回アース・スターノベル大賞」にてルナ部門の佳作をいただくことができました。


 受賞のご連絡をいただいたときには驚きすぎて言葉が出なくなりました。

 こんなことってあるんですねえ、と思いながら徐々に実感と自覚が湧いてきて現在に至っております。


 本編完結のタイミングと受賞発表のタイミングが重なりましたがまったくの偶然です。

 でもまあ、これ以上綺麗なオチもありませんので、そういうご縁だったと思って大事にしたいと思います。


 審査をしてくださった皆様にも読んでくださった皆様にも、感謝の言葉しかありません。


 おかげさまで賞をいただいて、本作「侯爵令嬢アリアレインの追放」を、書籍として世に出すことができます。

 本当にありがとうございます。


 改稿や加筆、校正などなどでたぶん大変なことになるだろうと思いますが、なかなかできる経験ではないので、しっかりやってよい本を出したいと思っています。


 書籍版を楽しみにしていてください。



■反省


 「反省」とタイトルを付けてはいますが、結果として反省すべき点は何もないです。本当に一切ない。

 連載開始時想像もしてなかった場所に行けたしきちんと1本書ききれた。


 立派な賞をいただいて、書籍にすることまで決まりました。


 自分を褒めてやりたい。というか褒めました。


 振り返ってみて、ああすればこうすれば、というのはなくもありません。

 伏線の張り方、描写の積み方や見せ方、説得力の持たせ方、いろいろなところにまだまだ改善の余地があります。


 ただ、それも書ききってみてはじめてわかったことと思っていますので、そういう意味でも、やはり「全力を投じて1冊分を書ききる」という当初の目標設定は間違っていなかったな、と考えています。


 「こうしておけばもっとやれた」みたいなことは今のところありません。2作目3作目がもっと当たったときに、「あのときこうしておけばもっといい結果が出たかもしれない」と思えれば、というのが現状できるいちばん贅沢な想像です。



■影響を受けたもの・参考にしたものなど


 本作を書くに当たって参考にさせていただいたもの、直接参考にはしていないけれども明らかに影響を受けているものなどを挙げておきます。お名前はすべて敬称略です。


・日本語の作文技術(本田勝一)

 タイトルまんま、日本語を書く上での基本的な技術とお作法の本です。手許にはありませんが、実家に置いてあって高校生くらいのときに読みました。以後、仕事・趣味問わず、筆者がなんか書くときの技術のベースはこの本にあると思っています。


・バンデット 偽伝太平記(河田真道)

 ここに書かないと嘘になるやつ。3巻の足利貞氏の台詞が全てです。コンセプトが「もし貞」ですしね。人を選ぶ漫画だとは思いますが、筆者は好きです。


・壬生義士伝(浅田次郎)

 初めて読んだときに「マジかよ」ってなったやつです。「こんなやり方があるのか」と。本作を書くときに、登場人物から見た主人公の話、というのを基本的な構図にしていましたが、それはこの作品の影響です。癖が強すぎて(そして本家のワザマエがヤバすぎて)そのまま真似はできませんでしたが(当然)、周囲から見た主人公、という意味ではそれなりに書けたんじゃないかな、と自負しています。コミカライズ版(作画:ながやす巧)も傑作なので読むといいと思います。


・機動警察パトレイバー TOKYO WAR(押井守)

 映画のノベライズを監督本人がやったやつです。虚実を取り混ぜた情報戦や時間との勝負が鍵になるあたりを強く意識していました。


・大河ドラマ 真田丸/鎌倉殿の13人(三谷幸喜)

 ホームドラマと陰惨な陰謀劇を行ったり来たりするあのスタイルは憧れますが真似できませんでした。本作では、「登場人物から見えているもの以外は描かない」というところを意識しながら書いたものです。あと書いてる途中で「そうかルドヴィーコは時政パッパの逆パターンか」とか思いました。


・大砲とスタンプ(速水螺旋人)

 直接の参考にしたものではありませんが、官僚主義から見た戦争の話や兵站周りのあれこれは意識しながら書いていました。


・皇国の守護者(佐藤大輔)

 ストーリーで参考にした部分はありませんが、地の文に紛れ込む台詞とか、文体や筆致でいろいろと影響を受けている気がしています。


・シュトヘル/皇国の守護者(伊藤悠)

 なにを参考にしたわけでもないのですが、筆者の脳内で動く登場人物はだいたいこの人のビジュアルでした。

 シュトヘルはいいぞ。全14巻とお手頃な長さだしハピエンだし(重要)、舞台と道具立てでもう天才かよってなるし。筆者は不定期に読み返してます。


・銀河英雄伝説(田中芳樹)

 あまり意識していたわけではないのですが、幾人かからご指摘をいただいたので書いておきます。たしかに似てるシーンありますね……天才と俊才のイケメンじゃなくて凡庸なイケメンと仕事のできるデブでしたけど。


・英国メイドの世界(久我真樹)

 使用人が出てくるシーンでよく参考にしていました。実は大学時代の友人の作で、プレゼントしてくれたやつを家に置いているのですが、正直自分が創作やる際の資料として使うとは思っていませんでした。使用人が出てくるシーンがよく書けていると思われたら、そのいくらかはこの本のおかげです。貴族モノとか書く人にとっては資料価値が高いんじゃないかな、と思っています。


・29歳独身は異世界で自由に生きた…かった。/ご主人様とゆく異世界サバイバル!/目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい(リュート)

 直接の参考にした部分はありませんが、話の展開のさせ方や作者(TRPG仲間にして友人)が時折呟くあれこれには結構な影響を受けていますのでここに挙げておきます。この文中で幾度か登場した「畏友」はこの作者です。更新のたびに呟いて拡散してくれたのは特にお願いをしたものではありませんが、大きなアシストになりました、ということをここで申し上げておきます。

 身近で見てると真似したくなるというよりも「同じスタイルではデッドコピーにしかならないから自分は自分の特性を活かして別の方向でやっていこう」ってなるんですよね。作品はどれも面白いし、コミカライズ版も素敵なので、未読の方はまとめて読むといいと思います。


・小説家になろう日間総合ランキング一位をとった作品の構築経緯と振り返り(ヤマモトユウスケ)

 これを自分に落とし込んでみたらどうなるだろう、という執筆のきっかけになると同時に、この「反省」執筆のきっかけにもなりました。本文中でも言及しておりますが、あらためてこちらに挙げさせていただきます。なろうで書いて上に行ってみたいと思っている方は一読して損のないエッセイだと思います。拙文よりもだいぶ短くて読みやすいですしね。



■謝辞


 読んでくださった皆様、評価をしてくださった皆様、どこの誰とも知れず、以前になにか実績を残したわけでもない筆者の小説を読み、そして評価してくださったことに、心からのお礼を申し上げます。

 皆様の後押しなくして筆者はこの文章を発表することはできませんでした。


 そして本作「侯爵令嬢アリアレインの追放」は、皆様のおかげをもって筆者の立派な実績となりました。


 どの読者の方が他のどなたかより上、というわけでは無論ありませんが、連載初期に多数の作品の中から本作を見つけ出し、評価してくださった方々に、とりわけ大きな感謝をお贈りしたく思います。


 筆者の次回作においても同じようなご愛読をいただければ、筆者にとってこれに勝る喜びはありません――と申し上げたいところですがそのまえに書籍があります。

 出たら是非、買ってやってください。


 連載中、長らくのお付き合いをありがとうございました。

 そしてもしよろしければ、引き続きお付き合いのほどを、どうぞよろしくお願いいたします。

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「侯爵令嬢」筆者しろうるりの反省 しろうるり @shiroururi-ky

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