第一章 人生の春・大学生編  合宿

2035年、8月。ゼミのみんなで長野へ合宿に行くことになった。夏の暑さが日々の生活に重くのしかかっていたそんな中、長野という避暑地への合宿は学生たちにとって待ち望んだ息抜きの機会だった。




 朝早くゼミのメンバーたちは大学の駐車場に集合した。荷物を積み込むバスが待機しており、学生たちはわいわいと賑やかな声を交わしながら、期待に胸を膨らませていた。斗真と伸介、百合の3人は前夜に準備を終えたばかりのリュックを肩にかけ渡教授が到着するのを待っていた。




 「なあ、斗真。この前のこと覚えてるか? 


  美穂が『私一人だけ仲間外れー!?』って叫んでたこと」




 「もちろん覚えてる。美穂、すごくショックを受けてたよな」




 「ええ、あの時の美穂の顔が忘れられないわ。かわいそうだったけど、ちょっと面白かった」




 伸介はその場面を思い出しながら言った。


 「あの時、美穂は俺たちがゼミ合宿に行くって聞いて、すごく興奮してたんだよな。でも、他学部だから一緒に行けないって知ったときの表情が…」




 「本当にびっくりしてたな。『私も行きたい!』って、ずっと言ってたし」




 「そうね。結局、家でお留守番することになったけど、その分お土産たくさん買ってあげなきゃね」






  三人は笑い合いながら、これからの合宿の計画に心を躍らせていた。その時、渡教授が駐車場に到着した。教授は穏やかな笑顔を浮かべながら、手を振ってゼミ生たちに近づいてきた。




 「おはようございます、皆さん」


 教授の声に、全員が一斉に挨拶を返した。




 教授は全員の顔を見渡しながら続けた。


 「今日は合宿初日です。皆さん、楽しみながら学びましょう。


  そして、たくさんの思い出を作りましょう」




 ゼミ生たちはその言葉に励まされ、笑顔を浮かべて頷いた。




 「それでは、バスに乗り込みましょう」


 教授が指示すると、全員が荷物を持ってバスに向かった。




 斗真、百合、伸介もそれぞれの荷物を持ち、バスのステップを登って座席を見つけた。全員が座り終わると、教授もバスに乗り込み、運転手に出発の合図を送った。




「さあ、皆さん、出発します」


 教授の言葉と共にバスのエンジンがかかり、キャンパスを後にした。




 




 バスが大学を出発すると、都会の喧騒が次第に遠ざかり、車窓から見える景色が緑豊かな田園風景へと変わっていった。学生たちはそれぞれの思い出話や期待を語り合いながら、旅の始まりに心を躍らせていた。




 百合は窓際に座り、流れる景色を眺めていた。その瞳には、どこか懐かしさと新たな冒険への期待が交錯していた。斗真はその隣に座り、彼女の様子を見守っていた。




 「百合、何か考え事?」


 斗真が尋ねると、百合は微笑んで振り向いた。




 「ただ、長野に行くのが久しぶりだから。自然の中で過ごすのが楽しみなの」


 彼女の言葉には、どこか安堵感が漂っていた。




 バスが山道に差し掛かると、涼しい風が車内に流れ込み、都会の暑さを忘れさせる心地よさが広がった。高原の澄んだ空気が肺に満ち、心も体も軽くなったように感じた。






 バスが目的地の合宿所に到着した。


 木々に囲まれた静かな場所で、広い敷地には古い木造の建物が点在していた。


 合宿所の周りには、緑豊かな森林や清流が広がり、自然の美しさが目の前に広がっていた。


 ゼミのメンバーたちは新たな冒険の始まりに胸を高鳴らせながら、それぞれの夏の思い出を刻む準備を整えていた。斗真や百合も含め、全員がこれからの3日間をコテージや旅館で過ごすと思い込んでいた。


しかし――




 渡教授がみんなを集め、軽く咳払いをしてから口を開いた。


 「皆さん、まずは長旅お疲れ様でした。ここで少しお知らせがあります」




 学生たちは興味津々で教授の言葉に耳を傾けた。




 「今回の合宿、皆さんにはテントで3日間生活してもらいます」


 教授が笑顔でサプライズを告げると、ゼミ生一同は一瞬凍りついた。




 「え、テント?」


 伸介が驚いた声を上げた。




 「本気ですか、教授?」


 百合も信じられない様子で尋ねる。




 「はい。そうです」




 渡教授は楽しげに続けた。


 「自然の中での生活を通じて、チームワークや自己管理能力を鍛えることが目的です。直前になって発表した方が皆さんの驚いた顔が見れると思いましてね。それに、こういった体験は普段の生活では得られない貴重な経験になると思いますよ」




 斗真は一瞬呆然としたが、すぐに気を取り直して笑った。


 「まあ、こういうのも悪くないんじゃないかな。非日常的な体験ってやつだよ」




 「そ、そうね。せっかくだし楽しみましょう」


 百合も気を取り直して笑顔を見せた。




 他のゼミ生たちも徐々に納得し、好奇心と少しの不安を抱えながら、テント設営の準備に取りかかることにした。渡教授が用意していたテントやキャンプ用具を取り出し、みんなで協力しながら設営を始めた。




 「よし、まずはテントを立てよう。みんなで手分けしてやればすぐに終わるさ」


 伸介が声をかけると、全員が動き出した。




 百合がテントの布を広げ、伸介と斗真がポールを組み立てる。


 周りでは他の学生たちも、ペグを打ち込んだり、ロープを引っ張ったりと、次第にテントが形になっていった。




 「これ、結構楽しいな」


 伸介が笑いながら言った。




 「そうね、こういうのも新鮮でいい経験になるわ」


 百合も同意した。




 夕暮れ時、全員のテントが無事に設営され、キャンプファイヤーの準備も整った。


 自然の中での3日間が、彼らにとって忘れられない思い出になることは間違いなかった。








 夕食はカレーということになり、渡教授から各班に食材が供給された。百合と伸介、斗真は同じ班で、早速料理の準備を始めた。




 百合はエプロンを取り出し、サッと身に付けた。


 それは可愛らしい猫が描かれたエプロンで、彼女の意外な一面を垣間見せるものだった。




 「そのエプロン、かわいいね」


 近くの班で料理をしていた女子学生が気づいて声をかけた。




 百合は少し照れたように微笑んで、


 「ありがとう。これ、お気に入りなの」と答えた。




 その言葉をきっかけに、他の班の学生たちも興味を持ち始めた。


 普段はクールで近寄りがたい印象の百合が、こんなにも可愛らしいエプロンをつけていることに驚き、次第に彼女の元に集まってきた。




 「百合さん、そのエプロン本当に似合ってるよ」


 別の女子学生が笑顔で言った。




 「ありがとう。でも、これで料理がうまくなるわけじゃないけれどね」


 百合は少し照れながらも嬉しそうだった。




 「いやいや、そんなことないよ。料理も上手そうだし」


 男子学生の一人が声をかけた。




 斗真と伸介もその様子を微笑ましく見守っていた。普段の真剣な議論の場とは違う、リラックスした雰囲気の百合を見て、彼女の新たな一面を感じていた。




 「白石、玉ねぎ炒めてくれ」


 伸介が言うと、百合は「任せて」と自信たっぷりに答え、手際よく玉ねぎを炒め始めた。




 その姿を見て、他のゼミ生たちも互いの班の仲間たちと次第に打ち解けていった。


 料理が得意な百合は積極的に他グループの会話に参加して、野菜の切り方などを丁寧に教え、話の端々で徐々に笑顔を見せるようになった。








 「斗真、サボってないでこっちも手伝って」


 「——っ」


 




 普段は勝気な表情で笑う彼女が、振り返りざまにあまりにも自然な表情で笑うものだから、斗真の心臓は強く鳴った。




 「どうかした?」


 「べ、別に何でも」


 「? そう?」




 普段は斗真に見せることのない、気の抜けたキョトンとした表情をする百合に斗真は振り回される。




 「で、何を手伝えばいいんだっけ」


 「カレーのルーを入れる仕事よ」




 「それ、俺じゃなきゃダメなの」


 「誰でもできるから斗真に頼んでるの」




 「え、もしかして戦力外通告受けた?」


 「何言ってるの、最初から戦力として見てないわ」




 「え、酷くない?」


 「斗真、ゆで卵しか作れないでしょ」




 百合はそう言うと、カレーのルーを差し出してくる。


 「誰でもできると言ったけど、カレーのルーは最も重要な仕事だから」


 「確かに。責任重大だ」




 「もし、斗真がルーをダメにしちゃうとするじゃない?」


 「え、いきなり何」




 「それでルーがないカレーになってしまった場合、斗真ならその料理に何て名前つける?」


 「うーん、ルーなしカレーとか?」




 百合はクスクス笑いだす。




 「なんだよ」


 「やっぱり、斗真は料理の才能ないわね」


 


 「うるせえ、ほっとけ」


 


 そうこうしているうちに人参、玉ねぎ、ジャガイモ、茄子、ピーマン、豚肉の入った鍋がぐつぐつと音を立てて煮えていく。




 「そろそろルーを入れる頃合いね」


 「それじゃあ、僕の仕事だ」




 「待って」


 「なに」




 「その前に隠し味」


 「何を入れる?」




 「秘密」


 百合はそう言うと、「隠し味」と書かれた瓶を取り出して丁寧にスプーンに垂らしてから謎の液体を鍋へ入れていく。




 「それってもしかして…」


 「毒とかじゃないから安心して」




 「さいですか」








 次第に各グループのカレーが出来上がり、食事の準備が整った。キャンプ場の中心にある大きなテーブルには、各班のカレーが並べられ、食器やカトラリーも整然と配置されていた。




 ゼミ長の伸介が立ち上がり、皆に注目を促す。「みんな、注目してくれ!」その声に全員が静かになり、伸介に視線を向けた。




 「この3日間の合宿、皆で協力して楽しみながら学ぶことが目的です。そして、まずはこの美味しいカレーでスタートを切りましょう。各班の力作を味わいながら、交流を深めていきましょう。では、乾杯!と行きたいんだが、残念なお知らせだ。渡先生が自分の分のお酒だけを注文したらしい。マジでショックだけどみんな、乾杯!」




「「「「「「乾杯!」」」」」」




 ゼミ生たちの声が響き渡り、各自のグラスやカップを持ち上げた。楽しげな笑い声と共に、食事が始まった。




 百合の作ったカレーもテーブルに並べられ、他の班のメンバーたちは次々とそれを皿に盛り付けていった。渡教授も興味津々で百合のカレーを手に取り、一口食べてみた。




 「これは…本当に美味しいですね」


 渡教授は驚きの表情を浮かべた。




 「ありがとうございます、教授」


 百合は少し照れくさそうに微笑んだ。




 渡教授はさらに一口を味わい、満足げに頷いた。


 「これは、愛の味ですね」




 その言葉を聞いた瞬間、百合の顔が真っ赤に染まった。


 「え、そ、そんなこと…」


 彼女は困惑しながらも、嬉しそうな笑顔を隠しきれなかった。




 「白石さん、あなたは大事な人においしいと言ってもらいたいという一心で日々料理の腕を磨いてきたんですね」


 渡教授が優しい表情で続けた。




 百合は驚いたように教授を見つめ、


 「ええ、まあ。ですが、先生はなぜおわかりに?」




 教授は微笑みながら答えた。


 「隠し味、おそらく入れましたよね。でも隠し味ではないほどに旨味が主張してきているんです」




 百合は一瞬戸惑い、その後小さく笑った。


 「そうなんです。カレーに少しだけ特別なソースを加えてみたんです。先生に気づかれるとは思いませんでした」




 「料理には心が現れるものです。あなたのカレーには、作り手の愛情がたっぷりと詰まっています。


  相手の方に喜んでもらえるといいですね」




  「はい。ありがとうございます、教授」


 百合は感謝の気持ちを込めて言った。


 




 「皆さんも是非、白石さんのカレーを食べてみてください」


 渡教授がみんなに声をかけると、周りのゼミ生たちも興味を持ち百合のカレーを味わい始めた。




 「本当だ、これは美味しい!」


 一人のゼミ生が感嘆の声を上げた。


 「うん、こんなに美味しいカレーを作るなんて、白石さんはすごいな」


 別のゼミ生も同意した。




 「ありがとう、みんな」


 百合は照れながらも、喜びの表情を見せた。






 「百合、美味い! めちゃめちゃ美味い! 本当に美味しいよ!」


 斗真が言うと、百合はさらに顔を赤らめた。


 「ありがとう、斗真」彼女は小さく頷きながら呟いた。




 夕食は和やかな雰囲気の中で進み、ゼミ生たちはお互いのカレーを味わいながら、笑い声と共に楽しいひとときを過ごした。










 夕食が終わり、ゼミ生たちは食器の後片付けに取り掛かった。満腹感と共に充実した時間を過ごし、皆が楽しげに笑い合いながら作業を進めている。その中で、男子学生たちがやけにそわそわしているのに斗真は気が付いた。




 「なんだかみんな落ち着かないみたいだな」


 斗真は片付けをしながら伸介に耳打ちした。




 「きっと、この後のキャンプファイヤーで女子をダンスに誘おうとしてるんだろうな」


 伸介は笑いをこらえながら答えた。




 斗真は片付けを終えると、そわそわしている男子学生の一人に声をかけた。


 「大丈夫か?そんなに落ち着かない顔して」




 その男子学生は一瞬驚いたように斗真を見つめ、少し照れくさそうに笑った。


 「いや、ちょっとな…キャンプファイヤーでダンスに誘おうと思ってる女子がいるんだけど、どう声をかけたらいいか分からなくて」




 斗真は理解したように頷いた。


 「なるほど、そういうことか。緊張するのはわかるけど、自然に声をかければいいと思うよ。無理に構えずにさ」




 男子学生は感謝の気持ちを込めて微笑んだ。


 「ありがとう、斗真。でも、お前はいいよな、白石さんがいるから。もうすでにパートナーが決まってるようなもんだし」




 その言葉に斗真は一瞬戸惑い、次の瞬間には顔が真っ赤に染まった。


 「そ、そんなことないって! 百合とはただの友達だし、そんな風に考えたことも…」




 男子学生は笑いながら斗真の肩を叩いた。


 「いやいや、見てる側からしたらまるで熟年夫婦みたいだからな? 


  本当、羨ましいよ。」




 斗真はさらに赤面し、言葉を詰まらせたが、心の中で百合の存在を改めて意識せずにはいられなかった。その様子を見ていた伸介が、にやりと笑いながら斗真に近づいた。




 「斗真、何照れてんだよ」


 伸介が肩を組みながら言ってくる。




 「別に照れてるわけじゃない。ただ、あいつらの緊張が移っただけだ」


 斗真は少しばつが悪そうに笑いを浮かべた。




 「そうかいそうかい」


 伸介はさらに笑みを深めた。


 「で、白石とキャンプファイヤーで踊るんだろ? ちゃんと誘えよ」




 その言葉に斗真は一瞬言葉を失い、再び顔が赤くなった。


 「な、何言ってるんだよ。そんなこと考えてないって」




 「嘘つけ。お前ら二人のこと、みんな気づいてるって」


 伸介は楽しそうにからかい続けた。


 「あんなに息ピッタリで議論してたんだ。踊りだって息が合うに決まってるさ」




 斗真はため息をつきながらも、心の中では百合とのダンスを想像していた。


 「まあ、もし機会があれば…」




 「機会があればじゃなくて、ちゃんと自分で作るんだよ」


 伸介は斗真の肩を叩き、真剣な表情で言った。


 「お前がリードしなきゃ、白石もどうしていいか分からないだろ?」




 「そうかもしれないけど…」


 斗真は少し戸惑いながらも、伸介の言葉に感謝していた。


 「ありがとう、伸介。考えてみるよ」




 「考えるだけじゃなくて、行動に移せよな」


 伸介はにやりと笑い、他の学生たちの方に戻っていった。




 斗真はその場に立ち尽くし、少しの間だけ夜空を見上げた。


 星が輝く静かな夜、彼の心には新たな決意が生まれつつあった。


 百合と共に踊る瞬間を思い描きながら、彼はゆっくりとキャンプファイヤーの準備が進む場所へと歩みを進めた。




 




 キャンプファイヤーの準備が整い火が灯されると、暖かな光が周囲を照らし出した。夜の静寂を破るように、パチパチと薪が燃える音が心地よく響いていた。ゼミ生たちはそれぞれのグループで談笑しながら、火を囲んで楽しんでいた。




 斗真は、ふと百合の姿を探し始めた。


 辺りを見回すと、彼女は少し離れたところで座って一人静かに火を見つめていた。


 斗真は深呼吸をし、決意を固めて彼女に近づいた。


 


 「百合、ちょっといいか?」


 「ひゃいっ!」


 百合は驚いて声が裏返ってしまった。突然の背後からの声に緊張していたのか、振り返ると百合は目を大きく見開いていた。




 「ごめん、驚かせた」斗真は申し訳なさそうに笑った。


 「少し話したいことがあって」




 百合は息を整えながら、微笑みを浮かべた。


 「全然大丈夫。どうかしたの?」




 キャンプファイヤーの光が二人の顔を優しく照らしていた。百合の顔は炎の揺らめきの中で美しく映え、斗真は心臓の鼓動が少し早くなるのを感じた。




 「えっと…その…」斗真は言葉を探しながら、少し緊張していた。


 「キャンプファイヤーで…もしよかったら、一緒に踊らないか?」




 百合の表情は一瞬驚きに変わり、その後柔らかな笑顔に戻った。


 「私と踊るの?」


 「うん、そう。もし嫌じゃなければ…」




 斗真は緊張している自分を意識しながら言葉を続けた。


 「せっかくだから、楽しい思い出にしたいと思って」




 百合はその言葉に優しく頷き、立ち上がる。


 「でも、誘ってくれなかったら一週間くらい不機嫌だったと思うわ」


 「笑顔で恐ろしいこと言うのはやめてくれ」




 そう言うと二人は見つめ合って笑う。










 百合は右手を斗真に差し出し、


 「私と踊っていただけますか」




 斗真は不慣れな手つきで百合の手を取り、


 「喜んで」










 その瞬間、斗真は胸の中で大きな安堵感と共に喜びを感じた。


 二人は手を取り合い、キャンプファイヤーの周りに集まっている他のゼミ生たちの輪に加わった。


 火の光に照らされた百合の表情は柔らかく輝いており、斗真の心には温かい感情が広がっていった。




 夜空には星々が瞬き、キャンプファイヤーの周りでは楽しげな笑い声が響いていた。斗真と百合は、互いの存在を感じながら、その特別な夜を共に楽しんでいた。






 




 キャンプファイヤーが終わり、消灯時間が近づいてきた。ゼミ生たちは名残惜しそうにテントに戻り、静かな夜のキャンプ場に戻りつつあった。斗真と伸介もそれぞれのテントに戻り、寝袋に入りながら一日の出来事を振り返っていた。




 「いやー、今日は本当に楽しかったな」伸介が寝袋に潜り込みながら言った。


 「特にキャンプファイヤーでのダンスは最高だった」




 斗真は笑いながら頷いた。


 「そうだな。みんな楽しんでたし、いい思い出になったよ」




 伸介はにやりと笑い、横目で斗真を見つめた。


 「でも、一番の見どころはお前と白石のダンスだったな。二人ともすごく息が合ってたし、まるで映画のワンシーンみたいだったよ」




 斗真は顔が赤くなるのを感じながら、寝袋の中で体をもぞもぞと動かした。


 「そんなことないって。普通にダンスしただけ」




 「いやいや、見てる側からしたら全然普通じゃなかったぞ」


 伸介はからかいながら続けた。


 「お前ら、なんか特別な雰囲気出してたし。みんなも注目してたんだぜ」




 斗真は苦笑いを浮かべながら、伸介の言葉に応えた。


 「ほんとに?なんか恥ずかしいな」




 「照れるなって、いいことだろ」伸介は笑い声を上げた。


 「でも、あれだけみんなの前で堂々と踊れたんだから、大したもんだよ。やっぱり、お前と白石は特別な関係なんだな」




 「……」


 斗真は少し照れながらも、内心では嬉しさを感じていた。


 「伸介、ありがとう。今日は本当に楽しかったし、白石と踊れたのもいい思い出になったよ」




 伸介は満足げに頷き、


 「それなら良かった。次はもっと色々なイベントで白石を誘ってみろよ。お前ならできるさ」




 「そうだな、考えてみる」斗真は心の中で新たな決意を固めながら、夜空を見上げた。






 「こんなに楽しいキャンプになるとは思わなかったな」


 伸介が感慨深げに言った。




 「本当に。百合のおかげでみんながもっと仲良くなれた気がする」


 斗真も同意した。




 キャンプ場の静かな夜、テントの中で二人の会話は続いた。消灯時間が過ぎても、心地よい疲労感と共に、一日の出来事を振り返りながら、星空の下、斗真の心には百合との特別な思い出が静かに刻まれていった。
















 「ねえ、百合ちゃん、ちょっと聞きたいんだけど」


 隣の寝袋にいた4年生の先輩が声をかけると、他の女子たちも興味津々で近づいてきた。




 「さっき、斗真くんと一緒に踊ってたでしょ? あれ、どういうこと?」


 別の女子が続けて尋ねた。




 百合は一瞬戸惑いながらも、顔には出さないように答えた。


 「いや、特に深い意味はないわ。ただ、斗真が誘ってくれたから一緒に踊っただけよ」




 その言葉に女子たちは一斉に反応した。


 「えー!本当に? でも、2人ともすごく息が合ってたし、


  まるで映画のワンシーンみたいだったよ」




 「そうそう!なんか特別な雰囲気が出てたし、


  私たちも見ててドキドキしちゃった」




 百合は顔を赤らめながら、


 「そんなことないわよ。斗真が上手にリードしてくれたから、うまく踊れただけよ」と答えた。




 しかし、女子たちは納得しない様子でさらに質問を続けた。


 「でも、普段から斗真くんと仲良いよね? ゼミの議論でもすごく息が合ってるし」




 「そうね、斗真とは意見がぶつかることも多いけど、その分お互いに理解し合ってるのかもしれないわ」百合は少し照れくさそうに言った。




 その表情を見た瞬間、女子たちは一斉に「何この可愛い生き物!」と声を上げ、百合を抱きしめた。




 「もう、百合ちゃんってば本当に可愛いんだから!」




 「ねえ、百合、斗真くんのことどう思ってるの? 好きなの?」




 百合は一瞬言葉に詰まり、顔を真っ赤にして答えた。


 「えっと、斗真は大切な友達よ。でも、最近は…ちょっと特別な存在に感じることもあるかも」




 その言葉に女子たちはさらに興奮し、「やっぱり!そういうことだと思ってた!」と口々に言った。




 「じゃあ、恋バナしようよ!」






 キャンプ場の静かな夜、女子たちのテントの中は恋バナで盛り上がり、笑い声が絶えなかった。星空の下での特別な時間、彼女たちの絆も一層深まっていった。百合の心には、斗真との特別な思い出が静かに刻まれ、未来への期待が膨らんでいった。








*******************








 夜明け前、斗真は目を覚ました。まだ薄暗いテントの中で、伸介が隣で静かに寝息を立てているのを確認し、彼を起こさないようにそっと寝袋から抜け出した。斗真は静かにテントのチャックを開け、外の冷たい空気を吸い込んだ。




 外に出ると、キャンプ場は静まり返っており、星がまだ輝いている空が広がっていた。斗真は駐車場の近くにある自動販売機に向かおうと歩き出した。その途中で、ふと上へと続く階段が目に入った。




 「こんなところに階段があったんだな」斗真は好奇心に駆られて階段を登り始めた。




 階段を一歩一歩登るたびに、空の色が少しずつ変わっていくのを感じた。朝の薄明かりが少しずつ周囲を照らし始め、涼しい風が彼の頬を撫でた。




 やがて階段の上にたどり着くと、そこには広がる景色と共に、静かに座っている百合の姿があった。彼女は夜明けの空を見上げ、何か考え込んでいるようだった。




 「百合?」


 斗真は百合に声をかけた。




 百合は振り向き、


 「やっぱり来ると思った。おはよう、斗真」




 「おはよう百合。来るのが分かってたって、超能力者なの?」


 冗談を言いながら百合の隣に座る。




 「なんで僕が来るってわかったの?」


 「なんとなく」


 「なんじゃそれ」




 少しの沈黙の後、


 「朝早く起きちゃって、少し散歩しようと思って」


 百合は再び夜明けの空に目を向けた。


 「ここから見る景色がとても綺麗で、つい長居しちゃったの」




 斗真も空を見上げた。東の空が徐々に明るくなり、オレンジ色に染まっていく。


 その美しさに心を奪われた。




 「本当に綺麗だな」


 斗真は静かに言った。


 「こんな景色、普段はなかなか見られないよな」




 「そうね。こうやって自然の中で過ごすのも悪くないわ」


 百合は優しく微笑んだ。




 二人はしばらくの間、言葉を交わさずに夜明けの景色を眺めていた。


 静寂の中で、ただ一緒にいることが心地よかった。




 「昨日のダンス、楽しかったな」


 「うん、そうね」




 朝の光が2人を優しく包み込み、周囲の景色がますます美しくなっていく中、静寂の中で聞こえるのは、風の音と鳥のさえずりだけだった。




 


 ふと、百合が何かに気づいたように振り返った。


 斗真もその視線を追い、背後に目を向けた。


 「誰か来るみたいね」




 階段の下の方から、複数の人影がゆっくりと登ってくるのが見えた。


 徐々にその姿がはっきりしてきて、教授と他のゼミ生たちだとわかった。




 「おはようございます、お二人とも」


 一番前を歩いていた渡教授が穏やかな声で挨拶した。


 「お二人も一緒に、朝にしか見られない景色を見に行きませんか?」


 


 「でも渡先生、時間既に過ぎてますよ」


 背後にいる女子学生が先生にそう告げる。


 「それはまずいですね。それではダッシュで行くので、皆さん私についてきてください」




 「先生!?」




 渡先生はそう言うと、突如として陸上長距離選手顔負けの綺麗なフォームで学生たちを先導する。


 「ちょっ、先生、早すぎでしょ。本当に今年で71歳!?」


 必死で食らいつく男子学生が悲鳴を漏らす。




 渡先生は後ろにいる教え子たちを気にすることなくスイスイ前へ進んでいく。


 時節足場の悪い道も臆することなく走り抜ける。




 徐々に脱落者が出ていく中で、最後まで残ったのは百合と斗真と渡先生の3人だけだった。




 「皆さん運動不足ですね。運動は知的活動を向上させる基本だと教え込まないとだめですね」


 渡先生は息切れもせず、髭をわしゃわしゃしながらそんなことを呟いている。




 「白石さん、藤崎くん。見てください。これが私が見せたかったものです」




 目の前に広がっていたのは、夜明けとともに草原に着いた水滴が一斉に輝きだす瞬間だった。空が徐々に薄明るくなるにつれ、草の葉先に宿った無数の水滴がまるで宝石のように輝き始めた。朝の光がその一つ一つに反射し、キラキラとした光の舞踏を繰り広げていた。




 「ここはね、よく妻と一緒に来ていたところなんです。ここでプロポーズもしたんですよ」


 渡先生は照れながらそう言うが、残念ながらこの景色のほうに意識が持っていかれてしまってた2人は何も言う事ができなかった。




 この光景はまるで別世界に足を踏み入れたかのような、神秘的な美しさを放っていた。冷たい朝の空気が肌を撫で、草原から立ち上る淡い霧が周囲を包み込む。その中で、水滴たちは無数の小さな虹色の光を放ち、まるで魔法がかけられたかのように草原全体を輝かせていた。




 「おや、他の人たちも間に合ったようですね」


 後から遅れてやってきたゼミ生たちもその美しさに息をのむ。誰一人として言葉を発さず、その光景に見入っていた。自然の神秘に触れ、心が静かに震えるような感動を覚える。




 斗真は隣に立つ百合に目を向けた。彼女もまた、この光景に心を奪われていた。


 その横顔は朝の光に照らされ、まるで夢の中にいるかのように見えた。




 「すごい…まるで夢みたい」百合が静かに呟いた。




 草原全体が黄金色に染まり、まるで大地が息を吹き返したかのようだった。その光景は、彼らにとって忘れられない一日の始まりを告げていた。










 夜明けの光景を堪能した後、ゼミ生たちは一斉に起き始め、活気に満ちた朝のキャンプ場が再び動き出した。まだ少し冷たい朝の空気の中、皆は元気に「おはよう」と挨拶を交わし、朝ご飯の準備に取り掛かった。




 朝ご飯のメニューは、昨日のカレーの残りと、渡教授特製のサンドウィッチだった。


 カレーの温かい香りが漂い、サンドウィッチの新鮮な具材の香りが食欲をそそった。


 


 「みんな、おはよう! 朝ご飯ができたぞ!」


 伸介が声をかけると、全員がテーブルに集まり、ワクワクした表情で食事を始めた。




 「このサンドウィッチ、本当に美味い!」


 伸介が笑顔で言いながら一口をかじった。




 「渡先生の料理の腕前はさすがね」


 百合も同意し、サンドウィッチを味わう。




 「カレーも、昨日よりさらに美味しく感じる」


 斗真は百合のカレーを頬張る。






 「愛の味も2日経つと2倍になるのか」


 伸介が百合にだけ分かるように言う。




 「伸介くん、なんか言った?」


 「いいや、何も?」




 「何の話?」


 「斗真は黙ってて」


 「え、酷い!」






 渡教授は微笑みながら、ゼミ生たちの様子を見守っていた。


 全員が朝食を楽しんでいるのを確認すると、教授は立ち上がり、皆の注意を引いた。




 「皆さん、おはようございます。昨日は充実した一日を過ごせたようで、何よりです」


 教授の声にみんなが注目した。




 「さて、今から2日目の活動内容をお知らせします」


 ゼミ生たちは期待に満ちた表情で耳を傾ける。




 「午前中は、私が決めたお題でディスカッションを行います。各グループに分かれて議論を深め、各々結論を出すのが目標です」




 教授は一旦言葉を切り、全員の反応を見た。




 「午後は登山に行きます。自然の中でリフレッシュしながら、グループ活動を通じて協力の大切さを学んでください。そして夕食後には、肝試しを予定しています。少し怖いかもしれませんが、これも楽しい思い出の一つになるでしょう。ちなみに私はお化け役に回るので覚悟してくださいね」




 ゼミ生たちはざわめき立った。


 ディスカッション、登山、肝試しと、盛りだくさんのスケジュールに興奮が広がった。




 「ディスカッションのお題って、どんなものですか?」


 一人のゼミ生が手を挙げて尋ねた。




 「それはお楽しみです。あとで発表しますので、期待していてください」








 朝食を終えると、ゼミ生一同はキャンプファイヤーを行った場所へやって来た。昨日の夜とは違い、明るい朝日が辺りを照らし、心地よい風が吹き抜けていた。渡教授の指示で、全員が協力して人数分の椅子を並べ、グループごとに向かい合う形に整えた。




 「さあ、みなさん座ってください」




 教授が声をかけると、ゼミ生たちは指定された椅子に座り、期待と緊張の入り混じった表情で教授を見つめた。




 渡教授は全員が準備を整えたのを確認すると、大袈裟に両手を広げた。


 「皆さん、ようこそ初の青空教室ならぬ、青空ディスカッションへ!」




 ゼミ生たちはその言葉に少し笑いが漏れ、緊張がほぐれたようだった。




 「今日の議題は、高度なデジタル社会において『人間とはデータを提供する原材料に過ぎないのか』についてです。この議題は、2018年に出版された『監視資本主義』の一説を引用しました。非常に示唆に富んでいる本なので、是非皆さんにも読んでいただきたい内容になっています」




 教授は続ける。


 「各グループでこのテーマについて自由に議論し、最終的には結論をまとめて発表してもらいます」




 斗真は百合や伸介と目を合わせ、頷き合った。


 「これは面白そうだな」斗真が小声で言った。


 「確かに。いろいろな意見が出そうね」百合も同意した。




 「それでは、皆さん、議論を始めてください」


 教授が言うと、ゼミ生たちは早速ディスカッションを始めた。








 斗真のグループも早速意見を交換し始めた。


 「まず、高度なデジタル社会では、データの価値が非常に高くなることは間違いないな」




 斗真が切り出すと、百合が続けた。


 「そうね。でも、私たち人間がただデータを提供するだけの存在になるのは怖いわ。それって、人間の価値を過小評価することにならない?」




 伸介も頷きながら意見を述べた。


 「確かに。でも、データを活用することで生活が便利になるのも事実だし、そのバランスをどう取るかが課題になるな」






 他のグループでも、熱心な議論が繰り広げられていた。青空の下で、風が心地よく吹き抜ける中、ゼミ生たちは真剣に未来について考え、意見を交わし合った。




 教授はそれぞれのグループを回りながら、時折アドバイスや質問を投げかけた。


 「皆さん、いい議論が進んでいるようですね。未来を考える上で、大切なのは多角的な視点を持つことです。どんな意見も大切にしてください」






 青空ディスカッションが進む中、斗真はふと自分の考えを口にした。


 「汎用型人工知能を実現するためには、人間をデータの原材料と考える人も出てきてもおかしくないんじゃないか?」




 その言葉に百合はすぐに反応した。彼女の瞳には強い意志が宿っていた。


 「斗真、それは違うわ。人間をデータの原材料とするなんて、あまりにも無責任で危険な考え方よ」




 「でも、実際にAIの進化を加速させるためには、膨大なデータが必要だろう?


  そのデータを提供するのは、結局人間なんじゃないか?」




 百合は真剣な表情で首を振った。


 「確かにデータは必要かもしれない。でも、人間をただのデータ提供者として見るのは間違ってる。私たちには感情や倫理、価値観がある。そういうものを無視してデータだけを求めるのは、私たちの本質を見失うことになるわ」




 斗真は困惑したように問いかけた。


 「AIの進化と人間の価値を両立させる方法なんてあるのか?」




 百合は少し考え込んだ後、静かに答えた。


 「それこそが私たちが議論するべきテーマなのよ。AIの進化を追求する一方で、人間の尊厳や価値を守るための方法を見つける必要がある。それには、技術だけでなく、倫理や法律も含めた多角的なアプローチが必要だと思う」




 「そうか…そうだよな。確かに、簡単な解決策はないよな」


 斗真は納得するように頷いた。




 伸介もその議論に加わった。


 「百合の言う通りだよ。技術の進歩と人間の価値のバランスをどう取るかが大事だ。俺たちが今ここで議論していることが、その答えを見つける一歩になるかもしれない」




 青空ディスカッションはさらに深まり、ゼミ生たちはそれぞれの意見を交わしながら、未来のデジタル社会について真剣に考え続けた。教授は遠くからその様子を見守り、満足げに微笑んでいた。彼らの議論が、新たな気づきと成長をもたらすことを確信していた。










 青空ディスカッションが終わり、各グループの代表者は結論をまとめて発表する準備を整えた。


 ゼミ生たちは一列に並び、順番に発表を行った。教授は一つ一つの発表に耳を傾けながら、時折メモを取っていた。




 最後のグループの発表が終わると、渡教授は満足そうに立ち上がり、ゼミ生たちの前に進んだ。


 「皆さん、素晴らしい議論と発表でした。それぞれのグループがテーマについて深く考え、多角的な視点を持って結論を導き出したことに感銘を受けました」




 教授は少し間を置いて、続けた。


 「まず第一に、人間がただのデータの提供者であるかどうかについての議論は非常に検討に値します。多くのグループが、テクノロジーの進化と人間の価値をどうバランスさせるかについて考えてくれました。このバランスが未来の社会をどのように形作るかを考えることは、私たち全員にとって無視することはできない課題です。


 例えば、あるグループは、データの利便性とプライバシーの保護のトレードオフについて詳しく議論していました。このテーマは、現代社会でも非常にホットなトピックであり、皆さんが真剣に考えてくれたことを嬉しく思います」




 教授は一人一人の顔を見ながら続けた。




 「また、倫理的な観点からのアプローチも素晴らしかったです。人間の尊厳や感情、価値観を無視せずに技術を進化させるためには、どうすればよいかという問いかけは、私たちが常に持ち続けなければならない課題です。


 そして、何よりも素晴らしかったのは、皆さんが互いの意見を尊重し、積極的に意見を交わしていたことです。異なる視点を持つことは、問題解決のための重要なステップです。この合宿での議論を通じて、皆さんは確実に成長したと思います」




 教授は少し微笑んでから、


 「最後に、この議論を通じて得た知識や気づきを、今後の学びや生活に生かしてほしいと思います。


テクノロジーの進化は止まらないでしょう。しかし、その進化を人間にとってより良いものにするために、私たち一人一人が考え、行動することが大切です」




 ゼミ生たちは教授の言葉に耳を傾けながら、各自の議論を振り返り、考えを深めていった。


 教授の講評は、彼らにとって新たな視点と学びの機会となり、このディスカッションが彼らの成長の一助となったことを実感させた。




 「それでは、これからの活動も楽しんでいきましょう」


 教授が締めくくると、ゼミ生たちは再び活気に満ちた表情を取り戻し、次の活動への期待を胸に準備を始めた。

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Synthetic Organism-人工生命体 夜桜楓 @Ganma1770

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