雲の峰二十句【第2回短歌・俳句コンテスト・二十句部門】

茜あゆむ

雲の峰二十句

峰雲や虹でるまえの薄暗さ


水晶の夜踏み越えて雲の峰


峰雲はひとつのひかりの歓声


棒銀の銀ずんずんと雲の峰


神宮のシンクのぬめり雲の峰


直上に峰雲エコール・ド・パリ行き


おもしろき豆や小暗く 雲の峰


無声映画サイレント峰雲の下の喜劇も


後朝がくりかえしまた雲の峰


大っきなしにたい気持ち雲の峰


雲の峰はませぬ空に神のごと


雲の峰をのけて二人の冷やごはん


仰ぐときはだ張りつめる雲の峰


採血の針太くあれは峰雲


転ぶ子を眼差している雲の峰


峰雲に予感すOリングの摩耗


雲の峰やがて大雨警報の日


幽霊もうすものを干し雲の峰


午後休に書く読む詩句や雲の峰


峰雲が美しく在る長さかな

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