窓のペンギン 🐧

上月くるを

窓のペンギン 🐧



カツコウ!!の余韻いつぱく朝郭公

鷭の子の鷭に生まれただけのこと


夏雲や駅名板の裏表

万緑の底の駅舎の登山客


朝虹や窓のペンギン伸びあがる

老翁や墓標にきざむ「タロの墓」


慕はしき面影はるか沙羅の花

淋しさの透き通りたる君影草


豆蒔くや孤峰の裾野ながく引く

こう見えて基本生真面目天道虫


お花畑すこし不安なかくれんぼ

半夏生ひとりはさびし安らけし


ひまはりや一年生はもう帰る

滴りに思考の回路つながれり


とりとめのなき現世や釣忍

家籠と言へば言へたる蝸牛


蜜豆のお行儀のよき赤みどり

ずつしりと出張土産の水羊羹


工女たち絹といふ名の糸を取る

杵柄と呼ぶべき指やレース編む




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