生き返る猿
城戸優平
生き返る猿
ダ・カーポの目覚まし時計ぶん殴る 泥からゆっくりヒトへと戻る
百人で食うはずだったおにぎりの中には死んだ魚の卵
引けば開くドアをひたすら押しているふりでひたすらやり過ごせたら
よそいきの服しかなくてよそいきの服を着て暮らす 汚れる
歩き出す心構えもしないまま動く歩道に乗せられていた
電線はいつも真っ黒たくさんの言葉がみっしり行き来していて
生きている人間だけに許された「死ぬ気でやれよ死なねえからさ」
わたくしの元気な返事を眺めてる授業参観みたいなぼくだ
つまりはと略される時つまらなかった言葉たちの静かな悲鳴
あいつらのつむじを見下ろす位置にいて浮いているから息が苦しい
もうだめや死ぬんか俺はと言うときのサマンサタバサとおんなじ響き
こんなにも血の塊でありながら人間のふりをし続けている
残酷な子どもになりたい取り急ぎランチパックを芳一と呼ぶ
鮮やかにまた死んでいく昼下がり今日もたくさんがんばりました
ルサンチマン参上! 正義の鉄槌で隠れるところを殴るといいぞ!
振り下ろすこともできずに吊り革へ縋ったままで運ばれている
毎日が二十四時間と思えずに駄々、相対性理論を脅迫
心臓を取り出して揉むやり過ごすだけの
世の中の美しさとか楽しさにピン留めされてかろうじてです
生き返る猿 城戸優平 @kido_yuuhei
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