贅沢な一人バゲット
コンビニでバゲットに挟まったツナサンドを見る度、固くて食べ応えのあるパンのサンドイッチが食べたいと思っていた。
でも値段の割に中身はスカスカで、キュウリとツナのコンビネーションも自分にとっては微妙だったので買わないでいた。
これなら自分で作った方がいいや。
それを何度か繰り返しているうちに、ある日夕食の買い物をしていた時、自分が食べたがっていたことを運よく思い出した。
安いバゲットとツナ缶、玉ねぎ、ヨーグルトを籠に入れる。エビやスモークサーモン、アボカドも食べたかったけれど、節約しなければいけないので先延ばしすることにした。こういう待ち遠しい楽しみを未来に散らばらせておくだけで、この幸福を延長できる。
家に帰り、夕飯を作って食べた後、もう明日の朝にバゲットを食べることを考えていた。
次の日、いつもと同じ時間に就寝したのに、起きたのは昼近くだった。どうしてこんなに長く寝たんだろうと思いながら麦茶を飲むためにキッチンに向かう。冷蔵庫を開けた時、ヨーグルトがあるのを見つけてバゲットのことを思い出した。
食べたい。今すぐ作ろう。
私は缶詰などを置いている棚から昨日買ったバゲットとツナ缶を取り出した。冷蔵庫からはヨーグルトと玉ねぎを取り出す。
水分を切ったツナをボウル皿に入れて、ツナと同じ量のヨーグルトを入れる。そこにみじん切りにした玉ねぎ半分を入れて混ぜる。オリーブオイルもスプーン一杯分入れた。
本当はサンドイッチにするつもりだったけれど、バゲットの細さと固さからそれは難しそうだと思い、そのままスライスすることにした。
一センチくらいの厚さで斜めに切り、それを別のお皿に入れる。全部切り終わった後、私は二つの皿を持ってトースターの前に移動した。
スライスしたバゲットをトースターに入れる。その間引き出しから箸を取り出す。パンの様子を何度も確認した後、良い感じに焼けたと思ったところで箸を使って取り出した。
次のバゲットをトースターに入れる。それが焼けるまでの間、待ちきれなかった私はツナのディップをバゲットに乗せて食べた。まだ温かい。表面がカリッとしたパンと自分好みのディップが堪らなく美味しい。
食べたあとトースターからバゲットを取り出し、次のスライスを入れる。
ディップはたっぷりつけて食べる。
配分なんて気にしない。だって余ったバゲットはメープルシロップやジャムをつけて食べるから。
食べているうちに出来立ての温かいバゲットスライスができる。
まるでホテルビュッフェの、目の前で出来立てのオムレツを作ってもらって、それを食べている気分。
ああ、贅沢だな。
随筆 伊藤東京 @ItohTokyoNovels
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