第23話 愛してるからね

「ただいま。」

「おかえり。ご飯できてるよ。」



半月後、新しい仕事を始めた。



毎晩、麗美を求めて、休みの日も朝から求めた。

それでも母はなにも言わなかった。


母は、爪で、歯で、玩具で僕に答えてくれた。



事後、必ず母は僕を抱きしめて、


「愛してるからね」と言ってくれていた。

その時だけ、僕らは昔に戻っていた。



幼少期。僕を痛めつけたあと、必ず、『愛してるからね』と言ってくれていた。




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歪み愛 海星 @Kaisei123

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