いけいけ勇者様83

最上司叉

第1話

勇者は考えていた。


確かに自分たちのせいで国と国のバランスが変わってしまったのは確かだろう。


だからといって何も関係ない人達まで巻き込むのはどうかしている。


今は勇者は命にかえてでもこの街を守る!と決意した。


「ハァ!」


「うおぉぉ!」


【ズドドド】


【キィィィン】


「貴様こんなものか!」


【ザシャッ】


「ッ…!」


【ザシャッ】


勇者はあの方に腕を切られた瞬間勇者もあの方の鎧の隙間の腹を切る。


「くくく…どれ時間もなくなってきた…遊びは終わりだ!!」


「…」


あの方は目を閉じ集中している。


勇者は1歩も動けない。


下手に切りかかれば返り討ちにあうからだ。


勇者も剣を構えて目を閉じ集中する。


おそらく勝負は一瞬でつく。


魔王と仲間たち。


この国の人達の為に負けるわけにはいかない。


「!!」


どれくらい気を失っていたのだろうか。


勇者は一緒に戦っていた魔法使いの声で目を覚ました。


「勇者様ご無事ですか?!」


「…あぁ」


「勇者様良かったです!」


「…あの方は?」


「…それが」


「?」


一緒に戦っていた魔法使いに治癒魔法をかけてもらいながら話を聞いた。


勇者はあの方の最後の一撃を躱してあの方に渾身の一撃を入れた。


その直後にあの方は勇者の腹を持っていた剣の持ち手で思い切り殴り城から出ていった。


「!追いかけないと」


勇者は慌てて城の外に出ようとした。


「待ってください!」


「どうした?」


「…もしもし!」


誰かの声が突然聞こえてきた。


「はい!こちら魔法使い」


「無事だったか!」


「はい!勇者様が城の外へ向かうのですが戦況は?」


「魔王様たちのおかげでこちらも守備は上々!」


それを聞いた勇者は安堵した。


魔王と仲間たちは無事だったからだ。


「それで今あの方の位置は?」


「城から西の方角に移動中」


「分かりました、ありがとうございます」


それを聞いて勇者は一緒に戦っていた魔法使いに声をかける。


「行くぞ!」


「はい!」


勇者はあの方を追って城を後にした。


「ハァハァッ!クソッ!勇者の野郎!この俺がこのザマだとは!」


あの方は誰かの足音が聞こえた気がした。


「クソッ!追っ手か!」


「…」


「誰だ!!」


「…」


【ザシュッ】


「グハッ!」


【ザシュッザシュッザシュッ】


「…役たたずが」


「…」

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