俺はカクヨムのオンナノコに恋をした!

明鏡止水

第1話

俺は、カクヨムでエッセイを投稿している、とある作者に恋をした。


内容がメンヘラでついかまって(読んで)あげたくなっちゃうのだ……。


「ああ、また自傷行為してるっ」


俺は心配していない。


ただ、「彼女」の書く文章が面白い。

と思うのだ。


「彼女」はパニック障害で外にも出られないし、深夜に孤独からか日常のストレスからか「発作」が何度か起きて「死にそう」になるらしい。何回もその発作が起きて夜は眠れなくて辛い。


家庭内の事情も良くなくて余計にストレスがたまり、昼間も薬をポシェットに入れて家の中でもいつでも飲めるようにしているらしい。


深夜の発作のせいで眠れず、かといって早朝に起きてくると。

徹夜したのか! と親に怒られ。

明るくなった頃に安心してやっと眠れるようになったと思えば、朝寝坊だ! アルバイトをしろ! 外に出ろ! 生活リズムを整えろ!


理解は難しいだろう。


〈うつ病なった〉


「あー、やっぱなっちゃったか。てか、元が鬱で後からパニ障じゃね?」


俺は時にスマホ、時にPCで彼女の自分語りを読みながら、家に篭りきり、社会から隔絶されたかのような生き方をする彼女の文章に惹かれていた。本をよく読むし、スマホもあまり使いこなせていないし、ニコニコ動画も全く見ないらしい。


俺は疑問に思ったことを厳選して一つだけコメントで質問してみた。


〈だいじょうぶだよ。人生何とかなるもんだから。辛いのはずっと続く気がするし、「辛い」を通り過ぎた人間の言うことはなんかかっちり嵌まらなくて所詮はもう、通り過ぎた人の意見じゃんって、思うかもしれないけど。辛いもんが辛いって、今この瞬間にわかってくれる人もいるからさ。

なんで深夜にパニ障の発作出ると思う?〉


我ながら長ったらしくて面倒な文章だな、と思った。


返信が来た。


〈深夜にパニック障害の発作? が起こるのは、多分夜中になると静かで町全体と両親が眠るので、また発作が出たら辛い、辛くてたまらない、救急車は絶対に呼ぶわけにはいかない、と考えて余計に辛くなるからだと思います〉


「……」


俺も実家暮らしの二十代のニートだった。仕事も続いた試しがない。四捨五入したら三十代。アラサーだ。


勇気づけたいわけじゃない。


心配なわけじやない。


ただ彼女には、微量の求心力があって、俺は引き寄せられている。


彼女はXをやっていた。ポストを見てみるとたまにしか呟いていなかった。


好きなアーティストについて呟いているがわからない。


エッセイの更新を待った。


〈恋がしてみたい〉


という一文が合った。


「俺とシよう!」


俺は画面の前で、一人で恋心を育てていた。


近況ノートには、必ずいいね、する。


ただし、エッセイは採点する。

彼女にXで、ダイレクトメール送ってみようかな。



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俺はカクヨムのオンナノコに恋をした! 明鏡止水 @miuraharuma30

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