第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部】二十首連作 Underwater

水中チサ

Underwater

奪われる あなたの声に唐突に思考するのも儘ならぬほど


心にも君が咲かせてくれた意味 手折らせはせぬ 名もなき花よ


この気持ち結晶にして育てたい純度を高めて君に見せたい


戸惑いを予定調和で持て余す他の誰でもない君のため


ため息をつく毎脳裏に過る夜 惚れたら負けだって 知ってたわ


ささやかな幸せ 胸に小波なみ寄せてもこのまま抱きしめていたかった


ひたむきに歌うあなたの眼差しの矢に射抜かれる 不可抗力で


禁断の果実の正体は蜜柑 待ち受けていたのは甘い罠


勘違いさせているのは誰のせい そんな声で私を呼ばないで


真っ直ぐに君が差し伸べてくれた手の温もりを、ただ感じていたい


今だけは許してほしい何もかも柑橘の香りのせいだから


じんわりと広がる痛みはこれまでに得たものの代償だと言うの


反省はした後悔はしていない蕾は花開いていく 無常


水底に潜みし我の前に君がくれた蜜柑の甘酸っぱさよ


白詰の花は触れると消える夢かもしれなくて見るだけにする


満開の桜に別れ告げたくはなかった傍にいてほしかった


思い出の中のつつじはそのままの姿で今もいて春は行く


いかないで傍にいてよと希う心の在りかを奏でる痛み


本当は花なんてどうでもよくて探してたのは会いにいく理由わけ


うまらない隙間を君にいつまでもうめられたくて始まるは夏


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第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部】二十首連作 Underwater 水中チサ @c_37soko

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