短編:復讐の「叩き」!!!

立花 優

第1話 復讐の「叩き」

「兄貴、ホントに「叩き」(強盗の事)やるんですか?」



「ここまで、準備したんだ。必ずやる!」



「で、もし見つかったら?」



「ああ、人を殺すとは、どう言うものか。迷わず殺せ、殺せば分かるさ……」



「兄貴、亡くなったプロレスラーのアントニオ猪木さんのような冗談言っている場合じゃ無いですよ。万一、強盗殺人事件になったら、死刑か無期懲役でっせ」



「フフン、そう言う心配は絶対必要無い」



「でも、兄貴、どうしてそこまで断言できるのです?」



 すると、兄貴と呼ばれた35歳前後の、いかにも秀才そうな人物が、バッグから、特殊ゴムで作った指サック、ゴム式パチンコ、ハンマー、ナイフ等等の、数数の道具を取り出した。



「ところで、兄貴、この変わった指サック、一体何です」



「知らない方が良いのだが、まあ種証しすれば、警察庁の巨大データベースにハッキングして盗み出した、現在、強盗殺人で逃走中の本物の犯人の指紋を、3Dプリンターで再現したものなのだ。



いいか、この偽の指紋を、ところ構わず、ドアノブや金庫や、机の上にベタベタ付けるのだ。警察は、必ず逃走中の犯人をこの事件の犯人と思い込むだろうなあ……」



「へえ、さすが、日本一のT大学卒だけありますね」



「ああ、だが、俺の場合、それが逆に仇になったのだよ」



「と、言われますますと……」



「あまりに早い俺の出世を妬まれて、同僚の刑事にハメられたのさ。

 免許証まで完全に偽造された16歳の女性との淫行疑惑でね。しかもあれだけ綺麗なアソコを見せつけられたらその気にもなるわな。

 で、○○県警を、懲戒免職だよ。今回の、「叩き」は、その復讐でもあるのさ」



「で、兄貴、さっきからスマホや時計を異常に気にしていますが……」



「これは、付近を巡回している某警備会社が、最短、何分でここに駆け付けられるかの最終確認だよ。某警備会社の職員をも買収して、付近を警戒中の車に小型のGPSを取り付けてもらっている。最低でも、犯行には、10分間は欲しいのだよ」



「でも、空振りに終わったら、どうします」



「既に、闇データで、この家には、脱税も含めて、現金数億円がある事は押さえてあるのだ」



「でも、どうしてそんな情報が手に入るのです?」



「極、簡単な話さ。警察の上層部、税務署の上層部、銀行の上層部、広域暴力団の上層部、一部の大臣クラスが結託して、一大秘密ネットワークを結成しているのだ。     だからこんなの、警察上部では常識なんだよ。



特殊詐欺を見てみろよ、いつまでたっても無くならないだろう。結局、警察が、本気で動く気が無いからさ……」



「へー、兄貴、もの凄い知識ですね」



「だから、伊達にT大を出ていないって言っているだろう……。



まず、山崎、あんたの得意の強力ゴム・パチンコで、正面の2台の防犯カメラをぶち壊してくれ。で、防犯カメラに異常が発生すると、某警備会社に、即、連絡が行く事になっている。



余裕は、10分、いや5分で片付けよう。



さあ、今だ。



山崎よ、今直ぐ、防犯カメラを、パチンコで打て!!!」

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短編:復讐の「叩き」!!! 立花 優 @ivchan1202

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