カクヨムへのラブレター 〜サーバーが一瞬落ちた日〜

ガビ

カクヨムへのラブレター 〜サーバーが一瞬落ちた日〜

 6月16日の日曜日。


 父の日であるその日、父さんに欲しいものを聞いたら「結局ビールだな」と言われたので、近所のスーパーで金麦をダンボール単位で購入してプレゼントしました。


「いつもありがとう」「こちらこそ」


 軽いやり取りを交わす。

 お酒を飲めたら、もっと親孝行できるのかもと思ったのですが、匂いで酔うレベルの下戸なので、諦めるしかない。我ながらつまらない息子だなぁと自己嫌悪してしまいました。


 しかし、まだ楽しみがある。

 翌日が私の誕生日なのだ。


 少し前から『ゆるキャン△』で登場した静岡の「そのまま肉」というハンバーグが気になっていました。さらに、『霜降り明星のあてみなげ』という番組で絶賛されていたのを観て、誕生日を言い訳にお取り寄せしていました。


 誕生日当日は平日なので、16日に届くように計算してネットで注文して、届いた実物を見た時はテンションが爆上がりです。


 下ごしらえを終えて、一息ついたタイミングでフォローしている小説を読もうとカクヨムをタップしました。


「アレ?」


 なんか「読み取れませんでした」との表示が出てきました。

 ネットに繋がっていないのかと疑いましたが、Wi-Fiは通っているし、他のSNSは問題なく動いていました。

 少し、心臓の音がデカくなってきてくることを自覚する。


(とにかく情報だ)


 こういう時の強い味方、Xでカクヨムと検索すると私と同じ状況の人達がたくさんいることを知る。自分だけではないということに安心すると同時に事態が大きそうなことにビビってしまいました。

 特に目を引いたのが「ニコニコ動画のサーバー攻撃と同じパターンかもしれない」というポスト。


 マジか。

 サーバー攻撃‥‥‥。

 機会オンチの私からしたら、あまりにも強いワードに嫌な汗をかく。


 これは、スマホとにらめっこをしていても仕方がないと切り替えて、とりあえずお風呂に入ることにしました。

 気分転換にはお風呂が1番。


 しかし、湯船に浸かっている間もカクヨムへの想いは駆け巡ります。


 今は多少マシになりましたが、鬱病を患っている私にとってカクヨムは表現方法でもあり、精神安定剤でもあります。


 自分が面白いと思って書いた小説を読んでくれる人達がいる。感想を書いてくれる人がいる。それがどれだけ生きる気力になってきたかを再確認しました。


 少しだけ泣いてしまい、お湯を顔にかけて誤魔化してからお風呂を上がり、結局スマホを触ってしまいXを開きました。

 すると、カクヨム公式さんが「一時的にサーバーが繋がりにくくなっています。復旧するまでしばらくお待ちください」との旨のポストをしてくれていました。

 公式さんが動いてくれたことに若干安心しました。


 気分が楽になった私は、さらにリラックスしようと録画していた『アメトーク』の漫画大好き芸人を観ることにしました。

 相変わらず面白く、落ちかけた気分を上げることができました。その中で、マヂカルラブリーの野田クリスタルさんが紹介していた『あくたの死に際』に引っかかりました。


「これ、もしかしたら買ったかもしれない」


 私の悪癖の1つで、買った本を読み切っていないのに次々と新しい本を買ってしまう、いわゆる積み本をしてしまうことが挙げられます。


 番組を観終わって、部屋を探してみると案の定『あくたの死に際』を発見しました。


 すぐに読み始めました。

 殴られました。脳を。


 鬱病になって休職した主人公、黒田マコトがかつての大学の後輩であり、人気小説家の黄泉野に当てられて小説を書き始めている物語。


 全てが面白いのですが、ここでは1つのエピソードを紹介されて頂きます。野田クリスタルさんも挙げていたシーンなのですが、私にも刺さったのでカブリを許して下さい。


 小説を書き始めたは良いけれど、自分を晒し出せない。自分の心を守るために「そんな真剣じゃないし」と言いわけしてしまう黒田に黄泉野がこう言い放します。


「ダッッッッッッッッッサ」


 黒田とともに、私にもグサリときました。

 小説とは、裸を曝け出す覚悟をするものだと思い知らされ、カクヨムへの情熱が再燃してきました。


 単行本を閉じた後、もう一度カクヨム公式情報を見て、その熱を解放する場所が復活していました。

 早急に復旧の対策をしてくれた公式のおかげで、自身を曝け出すことができる。


 その感謝を伝えたくて、この文章を書かせて頂きました。


 6月16日。

 父と同時にカクヨムにも感謝することになった1日でした。

 

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