勇気の一歩が、再生する⑨
月日は流れ、一年後。都市エリテアはまだ復興の真っ最中だった。
しかし第一区域の議事堂は見違えるほどの変化を遂げていた。黒曜石と魔石を加工した
その議事堂、法が制定される白一色の
そしてそこから距離を置いて横一列に
「このような状況下、
第一声を発したのは。二頭身でずんぐりむっくりとした、なんとも愛くるしい見た目。三毛猫を模した猛獣人族の
「やばい、あのモフモフ超絶可愛い! ねぇヴァン、モフっていいかどうか聞いてきてよ」
シヲンが
――頼むから静かにしてくれ、シヲン……! 怒られるって!
ヴァンだけでなく、ドレッド、ディーネの三人も同様の思考だった、が。
「はっは、構わない。この後でいくらでもモフってくれ。それだけの重荷を課してしまうからね」
「やったぁ! ありがとうございます!」
パックスはその顔をくしゃくしゃにして笑い、尻尾を振りながらモフモフを許可した。ゴロゴロと喉を鳴らす音が聞こえてくる。まんざらでもなさそうだ。
――いいんですか……流石、
だが優しさだけではこの役職は務まらない。パックスはコホンと咳払いをして、雰囲気を一転させた。弓の
「さて。まず『
問に対し、ヴァン達はこくりと
「聖剣の継承者を
ヴァンの返答にうむ、と
そう。「
世の
またこの組織は聖剣から入手した情報を基盤にして任務の内容を決定するため、継承者の肩にのしかかる
パックスが円卓にあったリモコンを操作すると、頭上にモニターが表示された。人名と部隊名が映っているそれを全員で見上げて。
「このように部隊は
少し残念そうな顔をして
「圧倒的に人員が足りない。理由は単純で、魔王を含めた世界叛逆軍の全員が世界のどこかに
晴れやかな笑顔を取り戻して、立ち上がるパックス。
「マリ君から推薦を受けた優秀な学生である、君たちにも協力してもらいたいんだ」
そして一枚の証書を両手に持ち、そこに記述されている文章を読み上げた。
「ヴァン・ストーリア、シヲン・アルハンゲル、ドレッド・アビシー、そしてディーネ・ルシャ・エインズスラー。以上四名の実力を認め、第五部隊・『
四人の顔はどこか、
それを微笑ましく思いながらも、再び座り込んだパックス。ぽふ、という可愛らしい音を立てて。
「君たちには期待しているよ。次の世代を担う者たちとして……是非ともあの最強の英雄、レイド君を超えてほしい」
さて、とパックスがリモコンを再び操作する。
「早速、最初の任務を任せるよ」
モニターの画面がエリテアを中心とした縮小地図に切り替わっていく。
「一か月前、
赫魔石。魔石と用法は何ら変わりないが、それよりも
「頼んだぞ。良い知らせを、待っている」
『了解!』
かくして三日後。第五部隊・『
セイクリッドソード・ヒストリア 楪 紬木 @YZRH9
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