風羽の全日本🚲ロードレース（女子マスターズの部）

エピローグ

今、そしてこれから

　心の整理。

　じっくりと書いていく中で、随分と整理できたような気がする。

　レースは完敗だった。

　ロードレースできなかったし、下りはもちろん、下りがネックになって良いペースでの流れもうまく作れなかった。

　だけどそれを抜きにしても、上位に絡むには全然上りで出せるパワーも足りていない。

　これが現状。仕方がない。

　走行中に膝が気になる事は一切無く、終わってからも痛む事なく好調だ。

　やっぱりこの事が何よりも嬉しい。

　自転車に乗れる。練習できる。

　膝。

　12月に両脚に入れていたプレートを抜く手術を終えてからもリハビリとケアはずっと続けてきていて、これは今後もずっと必要な事だと思うけど、極めて順調な回復をしてきた。

　ロードの実走は気象条件が良くなって安全に走れるようになった3月末からだったけど、少しずつドンドン走れるようになっていく事が凄く楽しかった。

　それがさ。レース1週間前に初めて右膝に違和感を感じたんだ。膝周りの張りが少し気になる。何か引っかかる感じがする。走りに問題はない感じだったけど、注意しなきゃって感じと不安感があった。

　レース週の月曜日は膝の曲がりが悪くて引っかかる感じも強くなってかなりブルーな気持ちだった。

　この短編も書き始めた所だったのに、俺、もしかして走れないかもって思った。

　でも、身体をケアしてもらう予約を入れてあったのが本当にグッドタイミングの火曜日だったんだ。膝エッセイに何回か登場している頼みのE先生。

　もうね。俺にとっての神。

　施術してもらった直後は少しマシになった位の感じだったんだけど、翌日の水曜日はかなりマシで、軽く乗ってこれなら大丈夫そうって思えた。

　木曜日は気にならない位に良くなっていて普通に乗れた。

　それで、全く気にならない状態でレースを迎える事が出来たんだ。

　E先生、様々！

　神様、ありがとう！　だ。

　それで、レース終わって少し経つけど膝に異常なし。

　また次に向かえる。

　その事が最高！

　手術したからって、健全な膝に戻るわけじゃない。しっかりと向き合って良い状態を作っていく事が大切だ。自分ひとりじゃ出来ない事も助けてくれる人がいる事に感謝しながら。

　走って、観て、応援して‥‥‥

　会場は楽しくて、でも楽しいだけじゃない感情を色々と持つ事が出来た。

　こうした会場でしか会う事のない自転車で繋がっている人達と会える事は、会えるだけで嬉しかったり力を貰えたり。

　家に戻ってからもこれを書き終えるまで、レースに出たからこその学びがたくさんあった。

　自分の走っている写真がフェイスブックに上がっていたり、俺の投稿に対して本当にたくさんのいいね！　を貰ったりコメントを貰ったり。そんな事も凄く嬉しかった。

　俺、単純だから、応援とか貰えるとスゲ〜力（ちから）になっちゃう。

　俺はこれからどうしたいのか。

　何に向かいたいのか。

　ロードレースをまた走るかどうか今は分からない。

　やりたい事と出来る事。

　今は答えはまだ出ない。

　自分の心に正直に。

　ひとまず走る事を決めているのは8月末の乗鞍ヒルクライムだ。

　今はそこに向けて。

　楽しんで、頑張るぞ！

　間もなくレースが開幕するツール・ド・フランスのプレゼンテーションで昨年の覇者ヴィンゲゴーにマイクが向けられた。

　春先のレースでクラッシュし、大怪我を負って今年のツールには間に合わないだろうとも言われていた。

　ツール3連覇の期待もあるし、そこまでの力は取り戻せていないという見方もある。

「ここに立てた事が自分にとっての勝利」

　ヴィンゲゴーは静かにそう言った。

　ここに立てたという事は戦う準備が出来たという意味だろう。

　1ヶ月前に驚異的な強さでジロ・デ・イタリアを制した絶好調のポガちゃんと戦えるのか、チームの一員としての戦力なのかは分からないけれど、ここまでの過程が勝利といえるに値するものだったのだろう。

　3週間にわたるツール・ド・フランスがどんな戦いになるのか楽しみだぜ。

　そうだ。きっと自分の中で勝利を見出して、それを積み重ねていく事はとても大切な事なんだ。

　最後に俺もちょっと言ってみてもいいかな？

　ヴィンゲゴーとは全く別のステージだけどさ。

「全日本🚲ロードWMに挑戦してきちんとゴールした事。それが自分にとっての1つの勝利なんだ」

　あっ、カッコいい事言っちゃった。

　そう思ってもいいだろ？

　終わり