自転車競技の選手である筆者が、膝の故障から骨切り術という手術を経てリハビリに取り組む日々を記録したエッセイです。
体の一部に特化した内容であるため読者的なニーズとしては限られているかも知れませんが、状況が当てはまる人にとってはこれほど頼もしい手引きはないのではないかと思います。ともかくその記録量がすごい。入院から手術、転院後のリハビリにいたるまで、毎日とても綿密な詳細が書き綴られています。足の色んな部分をつぶさに観察して、骨や筋肉の状態、動きや力の入れ方などを研究し、気づいたことを逐一まとめてあります。
本作は筆者(女性)があえて男言葉で描いた自転車ライフエッセイの姉妹版になるのですが、このやんちゃな口調が文章に勢いと明るさを出しています。ご本人にはきっと不安や苦労だってあると思うんですが、それを感じさせずに目の前のリハビリに対してひとつひとつ前向きに取り組んでおられる姿勢が本当にかっこいいです。
あと、自転車競技をしている人にも、自分の癖から膝にかかる負担や正しい動かし方を知ることなど、参考になるお話がぎっしりです。
このレビューを書いている私自身はスポーツや膝に関しては部外者なのですが、この作品が自転車関係、膝関係の方に大いに役立つだろうことは想像に難くありません。
「新しい足」とともに日常を頑張る筆者にエールを送るとともに、同じ問題を抱える方々に本書がもっと知られることを願っています。