２０５４ 君らのジャパンありしか？

２０５４ ジャパン

みなのもの心して聴けニイマルゴョン　テクノファシズム吹き荒れしころ

極東の日出る国に立籠める暗雲深く人息詰める　

ずどーんと津波にあらず年金の崩れし春　我が母往ぬる

国ガチャを嘆きしものは多幸薬煽りて逝きぬ来世に托して　

怒りしは事務所囲んで「盗人！」と手帳投げつけ火を放ちたる

闇の中結社芽生えて火吹くテロ　爆破砕ける公安ロボット

日常は母の後継ぐ介護職　汗水なしのロボット無給

粒粒の小銭を貯めて通いしはヨシ原の奥　人間専科

我が君は元歌手と聞く　ミュージカル主役いとめて不幸になりぬ

“王様は出雲におらず永田町衣を脱ぎ捨て阿呆のごとく”

澄む声の夜空に充ちて官憲の耳に障りて禁止歌なれり

カナリアは詩(うた)を歌えず街を飛び媚態艶めく夜の貴婦人　

非正規の結社員なる我と君秘密抱きしめ愛狂おしく

我が任はSＮＳで「ＳＯＳ」貧しき国に声は返らず

急を聞き焦りて向かう花園の跡形もなく血染めの瓦礫

貴婦人の白き花弁(はなびら)赤く染まり野菊を手向くなきながら　

復讐の炎に焦がれ道行は空にドローン地にロボ犬

「結社とは歌を詠む会　平和なり！」寂滅(じゃくめつ)為(い)楽(らく)ロボ刑嘲(あざけ)る　

多幸薬呑みて笑って点火するマイト炸裂身飛び散った

霊魂は彼岸で君とランデブー　地上見下ろすジャパンありしか？