第9話 王国帰還

(黎音視点)


 移動中に情報共有を一通り行い、私たちは破滅フラグ回避のために(嫌々だが)協力することが決定した。


 そして、そうこう言っている間に王国に到着した。


 私にとっては初めての入国である。


 着いてまずやったことは、帝国で言われた内容を王国貴族に伝えることだ。


 上級貴族の集まった議場でアウロラとともに向こうであった話を伝えたが、アウロラの好感度が低いことに東方人である私への差別的感情も相まって、反応はかなり懐疑的であった。


 ……ただ、アウロラの父親だというノクストン公爵だけは娘の活躍だと嬉しそうに見ていたが。



 さて、王国に入って感じることは東方人への差別感情がかなり根強いことだ。


 穏健派と呼ばれる人々はそれほどでもないが、開戦派と呼ばれる者たちはかなり顕著である。


 聞いた話によると、開戦派は以前はそれほどの勢力ではなかったが、急激に数を伸ばし今や主流派になりつつあるという。


 その背景には第二王子ラスター=グランディネの存在がある。


 ラスターは開戦派の急先鋒で、そのことを後ろ盾に開戦派は勢力を伸ばし、それによってラスターは継承争いの支持者を増やす相互協力関係ができているようだ。


 そのせいで第一王子のエクラ=グランディネ率いる穏健派は苦境に立たされているという。


 そのエクラ第一王子とは、王宮の廊下で会った。


 前評判によると、継承権一位で品行方正・文武両道の好青年だという。


 一通り仕事を終えた後、数日王国に滞在することになったのでアウロラと用意された部屋に向かっているときだった。


「ご機嫌よう、エクラ王子」


 前から歩いてきた青年にアウロラがそう丁寧に挨拶をした。


 なるほど、彼がエクラ王子かと思いつつ私もアウロラの真似をして挨拶をする。


 よく見てみると王子は女を連れている。王子の後ろに隠れていたので一瞬わからなかった。


 そういう関係だろうか。


「……やあ、アウロラ嬢。それに黎音嬢もはるばるようこそ」


 そう王子が笑顔を振り撒く。金髪碧眼の美青年だ。


 これで優秀でしかも性格もいいというのでは、まさに完璧超人だな。


 ところで、後ろにいる少女が気になる。


 私が見ていることに気づいたのか、王子は少女の方に目を向ける。


「ああ、この子はセーラ=ソワレリート。僕の親友だ」

「セ、セーラです……」


 少女は恐縮した様子で王子の後ろから顔をだす。


「帝国から来た黎音です。よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします……」


 セーラは相変わらず緊張した感じでそう答える。


 小動物系の美少女だな。もしかして王子とできているのか?


 と、


「ご機嫌よう、セーラ嬢。ところで、人と話すときは顔を上げてはどうかしら?」


 横にいたアウロラが、急に大きな声でそう言う。


 見ると、セーラに引きつった笑顔を向けている。


 こいつぁ、前に何かあったな。


「も、申し訳ございませんっ……」


 一方のセーラはアセアセ、と言った感じで謝罪する。


 しかしそう言いつつセーラは終始俯いていた。






■あとがき - - - - -

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悪役令嬢×2 〜令嬢2人で最強タッグを組んで破滅フラグを回避します!〜 しまかぜゆきね @nenenetan_zekamashi

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