ナナたん ママたちが

オカン🐷

けんか いけまちぇん

「カズさん、ついて来なくていいのに」

「だってルナちゃん、帰って来なかったらと心配で眠れないよ」

「大学の講義に穴開けていいの? クビになるわよ」

「ルナちゃんを失うくらいならクビのほうがましだよ」


 青山のルナールの奥の部屋に荷物を押し込むと、ルナは隣のスタッフルームに移動した。ナナはルナミちゃんと約束しているのか、機嫌よく一人で遊んでいた。

 店長のオトとチーフのアキに集合をかけた。


「カズさん、これから企画会議だから部外者は立ち入り禁止よ。ナナと遊んでやって」

「部外者なの? 僕」


 しばらくして、リーダーが来客を伝えに来た。


 困惑顔をした祐奈がルナミを連れて、スマホを手にしている。

 奥のキッズルームに案内して事の経緯を伝える。


「それでもこれはいただくわけにはいかないわ」

「義母が勝手にやったことだし、そういう形でしか孫と触れ合う機会がないの。ここは黙って義母からの贈り物を受け取ってほしい。ナナのためにも」


 懇願するように言うルナ。

 それでも納得できない表情の祐奈。


「昔、遊んだ糸電話だと思って。現代の糸電話。ねっ」


 そうルナが言ったら気持ちが少し軽くなったのだろう。

 完全に納得は出来ないみたいだったけど、ルナミを置いて祐奈は帰って行った。

 キッズルームにルナミを連れて行くと、またナナはハグをしている。

 いつの間にこんなことを覚えたのだろう。


「カズさん、ちょっと出かけてくる」

「出かけるって、どこに?」

「ナナでさえ訊かないのに、大人しく待っていて」




 しばらくして帰って来たルナは、スタッフルームに閉じこもったきり出て来なかった。


「忘れてた。ナナたちにお昼食べさせなくちゃ」


 紙袋を抱えキッズルームに入って行った。


「また、アヒルさんと遊んでいたの? わあ、汗びっしょり。2人ともお着換えしないと」


 ルナはキャリーケースからワンピースと下着を2組出した。


「ルナミちゃんから、バンザーイ」


 服を脱がすとタオルで背中を拭いた。


「ナナはパパがお着換えしよう」


 同じ様な手順で着替え終わった二人。


「手を洗って来てね」

「はーい」

「ハーイ」


 二人同時に返事して戻って来たテーブルにはサンドイッチのプラスチックのパックが2パックしか置かれていなかった。


「僕の分は?」


「子どもたち全部は食べられないから半分ずつと思って」



1パックに同じ種類のものが2切れずつ入っていて、ルナは持ってきた皿の上にきれいに半分ずつ分けた。お茶と水のペットボトルと紙コップを置いて行った。


「パパ、いっちょにたべう」

「おお」

「パパ、これあげう」


 カズの前に置かれた皿にチキンサンドが置かれた。


「ルナミもあげる」

「2人ともチキンは嫌いか? 何か食べたいのがあったらあげるよ」

「ううん、いらない」

「ルナミもいらない」


「お水とお茶、どっちがいい?」

「おみじゅ」

「おみず」


まるで双子だな。マナとエナももう少ししたらこんな感じになるのか





       続く















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