無才の血

椋鳥

無才の血

 劣っている。それが自覚できないまま、歩いてきた。どれほど進んでも、目指した頂には決して届かないことを知りながら。だけれど、それはあきらめる理由になるのだろうか。いいや、それはあきらめる理由にはならない。なぜならば、そんな御託を言っていいのはできること全部をやりつくした者だけだからだ。


 知ることとは余計な感情を背負い込むことだと、僕は聞いた。その言葉は正しい。知る事とはつまり、余計な感情を貯金するようなものだ。本来であるならば自分一人の視点で生きていけたはずなのに、それ以外を知ってしまったら、人は、人生はどうなってしまうのだろうか?答えは……葛藤だ。悩み苦しんだ果てに人は何を望み何も得ることは出来ない。


 だが、それが分かっていても人派が止まない。誰かの考え、誰かの意志に突き動かされながら僕たちは生きている。劣っていようが葛藤しようが、その事実だけは華原図に残っている。


 僕はその思いを持ち、異世界に転生した。


























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