第26話
街を半壊させた犯人がレイだということは広まっておらず、無事に国境を抜けられたレイは再び走り出していた。 毎度のことだが最寄りの街等はすっ飛ばして王都へ向かっている。
(今更感が凄いけどなんで飛行魔術を開発しなかったんだ?走りで移動とかバカじゃん⋯⋯転移魔術とか使いたい、原理がさっぱりだから諦めたけど)
「お、あれが王都か!でっっっかいな」
王都はコンタリア王国の中央に位置していて、禁忌の森からはやや離れた場所に位置する。 大国だけあって高所から見ても街の全容は見えず、奥の方は霞んで見えるほど遠い。
防壁は二重で建てられている、内側には王城を囲むように貴族街が立ち並んでいて、外側には産業区や商業区、住宅区にスラム街が綺麗に区分けされている。
(この国の貴族がどれくらい腐っているかは知らねえけど、母数が多いだけ色んなクズがいるんだろうな)
「次!身分を証明するものを出せ!!」
「はいよ〜」
「ほ〜、その歳で星四の冒険者とは有望じゃないか」
「どうも〜」
「ちっ、愛想のねぇ小僧だな。入れ!」
感じの悪い警備兵にテキトーにあしらいつつ街に入ると、正に絶景と呼べる一言だった。
(いやいや、いくら王都の玄関とはいえこりゃ凄いわ⋯⋯)
貴族街へと続く防壁まで真っ直ぐ太い道が整えられていて左側は産業区、右側は商業区と大通りが境界線になっていた。
(この世界にも分業化ってあるのか〜、ここまで分けられてると効率はともかく見栄えだけは最高だな⋯⋯とりあえず冒険者ギルドに行くか、噂だとめっちゃデカいって聞いたけど)
「うわ〜、でかいし高い⋯⋯五階建てのギルドか〜」
屋台のおじさんに冒険者ギルドの場所を聞くと指を刺されただけだった、それ程に目立つし聞いた自分が恥ずかしくなるほどだった。
「おいガキ、入口ど止まんなや!」
「おっと、失礼〜」
ギルド内も人でごった返している、一階に酒場など無く長い長い依頼ボードに長い長いカウンターがあるだけ。受付嬢も30人くらいは常にいる状態で、余すことなく冒険者が列を作っていた。 レイも比較的空いてる列に大人しく並ぶ。
「おうおう、田舎者丸出しの坊主が王都で一旗揚げようってか!」
「ぎゃははは!せいぜい頑張れや!!」
「あんま絡んでやるな、小便漏らしちまう」
後ろに並んでいたチンピラ立ちに絡まれたが誰も気にしない、注目を集めてもおかしくないが人が多すぎて気にもならない。それにこの程度のことは日常茶飯事なのだろう。
「次の方〜、ようこそコンタリア王国の王都へ。冒険者カードをお預かりします⋯⋯⋯えっ!あなた星っ、失礼しました」
何となくだが大声でランクを晒されそうな予感がしたレイはじっと受付嬢を見つめ口の前で人差し指を立てた、レイを見て慌てて口を手で押え声に出さずに済んだ受付嬢。 この世界に個人情報保護などの法律は無いが最低限のモラルやマナーは存在する。
「⋯⋯カードをお返ししますね、レイさんのご活躍を期待してますね!」
「おう、ありがとな」
手続きを済ませたレイは人混みをくぐり抜けるようにギルドを出た。その時────
«レイ?レイー!聞こえるかー?»
『クルトか?聞こえるけど、遠隔でも会話出来たんだな』
«あぁ、レイが教えてくれた電話って奴からヒントを得たのさ。それよりも禁忌の森を沈静化させる件だがもう大詰めだ、数日したら魔物の被害が急激に減るはずだから»
『お、もう大詰めなん?意外と早かったな』
«ティアモンドとヴァイスがいるからな、一人だとここまで早くは出来ないさ»
一人でも出来るんだ、と思ったレイだがクルトの実力を考えれば可能だとも思った。ダンジョン内で散々殺し合った中だが切り札を数枚隠し持ってる様に見ていた、そういう所は悪魔っぽくはあるのだろう。
«これが終わったら俺達はまたダンジョン内に引きこもるから、そっちも落ち着いたら会いに来いよ?»
『了解。そういえばそっちに数人送り込んだからダンジョン内に拠点建ててやってくれ』
«はぁ〜、また急な話だな⋯⋯そいつらは俺達の関係を知っても大丈夫なのか?»
『まぁ、大丈夫だろ。裏切ったら殺せばいいだけだし』
«それもそうだな、でもレイの知人がここに来るのか〜。これは手厚く出迎えないと!!»
『⋯⋯ほどほどにな』
クルトの楽しそうな声を聞いて嫌な予感がしたレイは一応釘を刺しておく、対して効果がないのは分かっているが一応⋯⋯。 心の中でシュヴァルツ達に合掌しながら無事を祈った。
これからいよいよ大陸は激動の時代を迎える。
【悪鬼】と呼ばれた転生者 ~ちょっと脳筋な主人公が神からの使命を遂行しつつ異世界を席巻する~ ムンク @0134
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