グライダー
高黄森哉
グライダー
横を見ると、たくさんのグライダーが一斉に飛んでいる。横を見るというか、見上げる形だ。俺のグライダーは、今にも着水しそうな高度で飛んでいるのである。
たくさん群れるグライダーは、決して誰かが速すぎたり遅すぎたりする、ということはない。皆、一列に横並びで飛んでいる。
ただ、高度が違う。
この高度は発射台によって異なる。発射台が高ければ高いほど、高い高度を飛ぶことになる。
この発射台は各々が作ったものだ。したがって、彼らの高さは、彼らの昔の努力を象徴している。
といいたいところだが、ことはそこまで単純ではない。
俺の場合、度重なる転地のため、発射台の再建設を余儀なくされた。そのうえ、転地先では、資源が足りず、低い台しかつくれなかったのだ。
しかし、頭上の者はそれをしらない。不自由のないものは、だからこそ、高い空に低空できるのである。
運命を恨んだ。高いところに飛ぶ鳥たちを恨んだ。太陽で翼を焼かれることに、焦がれた。恒星を見上げると光芒がざらついた弦の響きで回った。
着水しそうになるたびに、胴体がしぶきを上げる。今、水切りの要領で水面を滑走している。
そして、機首は水面に潜り込み、水面下へと滑り込んだ。俺は意外なことに気づいた。このマシンは、水中の方がよく進む。
見上げると、鳥たちの少数が、水面を眺めていることに気づいた。彼らは、水に映る裏返しの各々を見つめていた。水中を知った気になっているのか?
飛ぶ鳥の中に自分がいた。
彼はやはり低い位置を、水切りのように飛んでいた。
グライダー 高黄森哉 @kamikawa2001
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