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仕事ばっかりだ

 最近は朝に長編をちょこっと直して職場へ向かうことが多い。仕事の方はうだつが上がらない感じだ。同僚が全くおらず、悩みなどは共有できない。また、自分がいかに社会から断絶した存在かを思い知らされる。俺はいくらまともぶっても、経験に差がありすぎる。その差は明らかに運命に強制されたものであり、個人的努力では克服しかねる。通常ではない。

 なんのしがらみもない。一人暮らしを始めてその傾向が強まった。なんの積み上げもないということだ。歴史がない。人間関係リセット症候群というのが、この世にはあるらしい。転勤族は自ずとこれだ。俺には人間的逃げ場所がない。帰るべき実家も、なじみのない土地の知らない家だ。

 いつも、どこかわからない土地で、だれかわからない人間と、なにかをしている気がする。そして、自分のプロフィールもなく、誰とも溶け合わず、どこへも行けず途方に暮れる。それが自分の抱える問題であり、解決するのは難しいだろう。そんな苦労は共有しがたい。

 最近、椎名麟三を読んだ。安心するようで、しない。俺とは別種の人間、融け合えない人間の話である。しかし、そんな人間たちも同じような焦燥を抱えているのは興味深いと思った。

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