決して留まることはなく、巡る

雪が溶け、道には緑が顔を覗かせて、暖かな風が吹く。鳥の囀りも聞こえてくるそれは、始まりの季節。
そんなきっと誰もが待ち望んでいる傍らで、交わる事なく、別れるものがある。冬だ。
季節が巡るとき、人は何を思うのか。現代に生きる者ならば、きっと些細なことと割り切るだろう。
だが果たして、ただの季節の移ろいが、隣人や友人、或いは思い人との別れを余儀なくされたのなら。