第9話 元貴族の冒険者、お耳ピコピコの獣人に話を聞いてもらう
【前回までのあらすじ】
貴族の家族から追放され、街で冒険者となったクリス。
知り合った女商人フィラと共に、
『走行』のスキルに合った靴を求めて雑貨屋へ。
カウンターには可愛らしい尻尾を揺らす獣人の店員が・・・。
――頂いたアイデアを使わせていただいての更新です。
ありがとうございました!
―――――――――――
「『走行』用の靴ですか・・・」
雑貨店の店員チエロは、カウンター越しに耳をピコピコ動かしながら言った。
犬狼族の獣人チエロ。
その彼に、
冒険者の少年クリスと商人の少女フィラが、
そのケモ耳をつまみたいという衝動を押し殺しつつ、
何食わぬ顔で来店の目的を説明したところだった。
クリスの目的は、自身のスキル『
『走行』・・・、
脚を止めず、そして走るフォームを崩さない限り、
どこでも、どこまででも走り続けられるスキル・・・。
「そう、たとえ木の上水の上でもっス」
そう言ったのは、クリスに同行してきたフィラだった。
「クリス君の『走行』は一瞬でも足で踏めれば、
どこでも走る事が出来ると思うっス。
つまり、靴の性能次第では水面も走ることが可能かと・・・」
「ほんの一瞬、水面でアメンボみたく浮く事ができれば・・・」
「そういう事っス」
そこまで話し終えると、
クリスとフィラは改めて、店員のチエロのほうを向いた。
「そんな靴、置いてないっスか?」
フィラの問いに、チエロは困ったような顔になった。
「あ、あの・・・、すみません・・・。
うちにあるのは普通の靴ばかりで・・・」
「そっか・・・」
と、クリスは言った。
なかば予想していた事だった。
そりゃそうだよね。
そんな都合よくスキルに適した装備品なんて・・・。
「あ・・・でも・・・」
と、チエロが言った。
「材料さえ集めてもらえれば、
ボクが創れると思います・・・。
その・・・スキルに合った靴を」
チエロのその言葉に、
二人は驚いた顔をした。
「おお、店員さん、そんな事出来るんスか!?
そのトシで職人さんとは・・・」
フィラが感心したように言うと、
「あ、いえ・・・、靴そのものは創れません。
でも、靴底に必要な素材を埋め込む事ならボクにもできるかと・・・」
と、自信なさげに説明するチエロ。
「靴底に弾力と浮遊性を付ければ、
ご希望の靴のイメージに沿うと思って・・・」
「いいっスね、
それでお願いするっス!」
「あ、お願いします!」
と、クリスも慌てて言った。
何か、どんどん自分を抜きに話が進んでいっているぞ・・・。
「えっ・・・と、あの、それで・・・、
その靴底を創るのにいくつかの素材が必要なんですけど・・・」
チエロは素材の名前をあげていった。
ゴムゴムの木の樹液、
ワタンポポの綿、
ウリの実の繊維、等々・・・。
「ボク、錬金ギルドに所属していて、
そこから大体の素材が手に入ると思います。
錬金ギルドは、薬とか武器とかの素材を卸しているから。
けど・・・」
「錬金ギルドにない素材もあるんだね?」
と、クリスが先回りして言った。
「確かに、
一個だけ聞きなれない素材名があったっスね」
フィラも聞き逃していなかった。
「
と、感心したように言った。
「そうなると、
街の外まで狩りに出る必要があるか・・・」
クリスがそう言うと、
「そっスね。
じゃ、さっそく明日にでも行ってみましょう」
と、提案するフィラ。
その言葉に、
「え?
一緒に来てくれるの・・・?」
クリスは驚いたように聞いた。
「もちろん」
と、何でもないように答えたフィラはそのまま、
「良かったら君も一緒にどうっスか?」
と、店員のチエロに向かって言った。
これにはクリスだけでなく、
チエロ本人もびっくりした。
「え・・・、ボ、ボクも・・・?」
「だって面白いじゃないっスか。
冒険者、商人、錬金・・・、
ギルドがバラバラの者同士でパーティーを組むなんて、
なかなかやれる事じゃないっスよ」
と、フィラが楽しそうに言った。
「いざ、素材を求めて、
ドリームチームで魔物狩りっス!」
【つづく】
――――――――――
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
そして・・・、
『三人で素材を求めて魔物狩りへ。
果たして、素材となる魔物とは!?』
あなたの想像・・・いえ、創造されたアイデアをコメント欄にてお贈りください!
簡単な一言だけで結構ですので・・・!
『スライム』とか、『ゴブリン』とか、『Hで綺麗なドライアド』とか・・・。
物語の続きを紡ぐためにも、
どうぞよろしくお願いします・・・!
『神々』と紡ぎし物語 NOみそ(漫画家志望の成れの果て) @botsunikomi
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