〆
「……」
なんだ。おったんか。
「本日の芸能活動は?」
「今日はオフよ、オフ」
帰ってきた
「
マネージャーをやっているほうの
「営業かけにいってる」
「仕事熱心やねえ」
枝豆を取ろうとしたら手を叩かれた。一個ぐらいええやんか。むすっとした顔でも美人の母親(ウチのおかんとは違う人)の血筋だから、それなりに画面映えしそうな形をしている。汐見さんも割合こういう憮然とした表情をしとるな。
「そう言う理緒ちはバイトどうしたのよ」
「今日はオフよ、オフ」
セリフをそのままマネして、瓶ビールを掴んだら今度は腕をつねられた。暴力女、こわいわあ。
「オフに出かけてくるなんて珍しいじゃない。休みの時はお酒飲んで寝ているくせに」
「あきらさんとの用事があってな」
「あきらさんと!?」
吉能の声が裏返る。吉能はあきらさんのこと好きやねんな。あきらさんには奥さんがいるって知っとるのに「うわー会いたかったあー!」と地団駄を踏んでいる。無理やと思うよ。
「なんで言ってくれないのよ」
「ついてきてもあきらさんの邪魔になるからや」
「邪魔になりませぇん。あたしにも霊力があるのよ。実力が認められたら『神切隊』に入っちゃうかも?」
ないよ。
吉能に、そんな力はない。
ないってわかっちゃうから、この家に拓三を連れ帰りたくなかったんよ。
「理緒! 美人の妹がいるなら先に言えよ! うらやましくて呪いたくなるじゃん!」
こんなこと言っている拓三のこと、ちっとも見えてないんや。
吉能のことだから、聞こえていたら鼻高々になる(褒められるとこの子はすぐ天狗になる)はずやもん。
「何? 妹に先を越されるのは嫌?」
「いいや。ウチからあきらさんに伝えとくで」
「それ、この前も言ってたんですけどお?」
バレたか。
【終】
眠れぬ獅子 秋乃晃 @EM_Akino
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます