番外編

あれから……11年後の話。




11年後の6月。

今年で私は24歳。まだ23歳だけど…。

私は小さい頃からの夢である幼稚園の先生になった。


武尊は一足先に24歳になった。

武尊は中学校の教師になった。昔からの夢だったらしい。もちろん、サッカー部の顧問である。



なんと…!私たちは結婚する予定。

結婚式を挙げるのは私が24歳になってから、という話になっている。



でも、先にちょっとだけ式の手続きを考えとこう、となって今2人で相談カウンター的な場所に行ってきた。



その帰り、散歩して帰ってたんだ。



そしたら。



「久しぶり、2人とも。」



何年もきいてないのに。

はっきりと覚えてる。昨日きいたばっかりのような感覚だ。



「涼…」



変わってるはずなのに、変わってなかった。



スーツケースを持った、涼がそこにいた。



「りょ…う、なのか?」


「武尊、久しぶり。元気してた?」


「何年ぶり?」


「10年とか、11年とか。」


「サッカーまだやってたりすんの??」



さすが親友。


会話がはずんでる。



微笑ましいその光景を見てると。


「ねーえ、結南と武尊って…結婚したの?」


「…!?」


「した。」



私は困惑してしまったけど、武尊はしっかりと答えた。


「で、でも、まだ婚約者だからね、武尊…」


「あ、じゃあまだ僕にチャンスはあるってことでいい?」


「は?ねーよ」


「もし2人が喧嘩とかしたら…武尊が浮気とかしたら?僕と結婚しようね、結南。」


「え、ええ?」


「…ふざけんなよ、涼。俺は浮気なんかしねーよ」


「そーういこと言ってる人がしてるんだよ、武尊ー」


「うざ。」




懐かしいなぁ。

変わってない。



そういえば…。



「涼って…今なんのお仕事してるの?」



「…サッカー選手とか?…ないか」


武尊が予想する。


「……」


謎の沈黙。



え、まさか。


ほんとに?



「まあ、代表の推薦的なやつはきたけどさァ、断ったよ?」


「なんで??」


「…やりたいことがあったからね。」


「なになに?」


「…幼稚園の先生。」 


「…っえ!?」


「最近内定もらった。結南と同じ保育園だよ。」


「檸檬学園幼稚部…」


「またよろしくね、結南」


「…嘘でしょ」


「まじかよ…」


「また結南と同じだ。楽しみだなぁ」


「…ちょっと俺来年から檸檬学園中等部に異動できるかきいてくる。」


「やめなよ、武尊…」



なんかいろいろありそう…だけど。


昔に戻ったみたい。





また会えて、よかったなぁ。




おかえり、涼ーーー。





  【僕と同じ君へ、伝えたいこと。 終】


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僕と同じ君へ、伝えたいこと。 竹串シュリンプ @fuyuchan

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