第10話
次の日。
私はいつのまにか、自分の部屋のベットで寝ていた。
…昨日の記憶がまるでない。
私、どうやって家に帰ってきたの?
そう思いながら、部屋の外にでると。
「おはよ。」
「うん、おはよう…って、え?!?武尊!?」
なぜか家に武尊がいた。
武尊は眠そうに目をこすりながら、
「結南、昨日涼に告白されたでしょ。」
と、ストレートにきいてきた。
「な、なんで知って…ていうか、なんでここにいるの!?」
「昨日、夜に涼から電話もらってさ。『僕の家の前まで来て』って。そしたら、結南が寝てたんだよ。ていうか、あれは気絶だったのか」
「…涼がフランスに行くことは、知ってたの?」
「いや。昨日電話で言ってて、その時知った。でも、薄々気づいてたなぁ。」
「私のこと、家まで送ってくれた?」
「うん。結南のポッケに鍵入ってたから。それで、こっそりここで寝てた。」
今日は、お父さんが出張で、お母さんは同窓会が長引くからとかで、どっかに泊まるっていってた。
だから、家には私と武尊だけ。
!?
変にドキドキする。
「で?涼とはどーなったわけ?」
「!?」
急に武尊がずいっ、と近づいてきて、私にそうきいてきた。
「ど、どうって…どうもない!!」
「どうもないことは無いだろ?で?ドキッとかしたわけ?」
「し、したはしたけど…そんな感じじゃないよ!?電話で告白だったし…」
「へーえ…まあ、いっか。アイツも…やるじゃん。」
やっぱり、武尊と涼は親友だ。
「「また、会えるのかな。」」
私と武尊の声が重なった。
そして、お互い見つめあって、クスッと笑った。
『また、会えるよ。きっと。』
なんでかなぁ。
−−−涼の声が聞こえた気がした。
*******
【涼side】
飛行機なんて、何年ぶりかな。
だんだんと遠くなる地面を見つめながら、そう思った。
武尊。
僕が最後に会った友達。
『ねえ、武尊…』
『ん?』
『僕ね、結南のことがね、』
『何回目だよその話。』
『告白していい?』
『だめだ。』
『ふぅーん。つまんないのー』
これがおそらく最後の会話。
…結局告白はしたんだけどね。
今度会ったら、殺されちゃう…?
…なんて。
1人でクスッと笑ってしまった。
僕たちが住んでいた市がみえる。
小学校、中学校、僕の家、武尊の家…結南の家。
なんとなく、結南の家に、武尊もいる気がするんだ。
2人で何か話しているのかな。
「……。」
一生会えないわけじゃないよ。
いつか…ね。
「また、会えるよ。きっと。」
気づけば、そう呟いていた。
窓から見える空が、清々しいほどに透き通った青だった。
【涼side fin】
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