尻鳥は嬉しからずや~妻恋短歌二十首連作~
尻鳥雅晶
捧げよう七万回と二十首をいつわりのない心のままに
出会う前 通りすがりの君を見た ああいう人が待ってたらなあ
「本心を隠してるでしょ、なんでなの?」 誰も見ようとしなかったから
君は言う「結婚しない」 (じゃあいいよ)という言葉をこらえる電話
「好き。だけど前に貴方を拒んだし、だからもう会え「気にしてないよ」
バカップルなるはずないと思ってた バカップルさん今までゴメン
現代の纏足なのかハイヒール 哲学思う新郎の靴
「テゾロ・ミオ」指輪に刻むイタリア語 石が無くても「我が宝石」と
結婚はリストラと知る不惑なり 良くも悪くも新規合併
ふたりぶん俺が作るとこれこそが真の愛妻弁当だよな
平日の朝日と共に君の髪 ふわりと撫でてさあ働こう
恋バナはキライなはずが楽しくて 腿に伝わる温もりあれば
自転車を借りたらサドル高すぎる 低すぎるよりずっといいけど
くだらないギャグも一緒に笑いあう 捨てがたきなり日本のドラマ
(あれ僕の奥さんなんだ)客席で言いふらしたい アマチュア歌唱
「海だって? そんな大きな水たまり、あるわけないよ」そう思ってた
「おめでとう」の言葉に足す「ありがとう一緒に年を重ねてくれて」
「一日でいいの長生きしてほしい」 響子さんさえ知らないくせに
「ラーメンは食べないでまた太るから」「しかたがないよメンクイだもん」
「脱いだものカゴに入れてと言ったでしょ」「ごめんねホント愛してるから」
「愛してる」何度言ったか計算し数に驚く 七万回も?
尻鳥は嬉しからずや~妻恋短歌二十首連作~ 尻鳥雅晶 @ibarikobuta
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